劇場公開日 2023年8月25日

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「狂おしいまでの情念が燃え上がる」バーニング 劇場版 カミツレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5狂おしいまでの情念が燃え上がる

2019年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

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カミツレ
CBさんのコメント
2022年9月16日

な、る、ほ、ど
今さら、カミツレさんのレビューを見つけて読んで、ただ一言。

そして、やっぱり俺にはわからないわけだ、と変な納得。

カミツレさん、数年前、琥珀さんとの「メッセージ」に対する深い洞察で、俺に大いなる影響を与えてくらたのを忘れもしません。
ここでカミツレさんと会話しているみなさんを含めて、す、ご、い

CB
浮遊きびなごさんのコメント
2019年11月6日

【注意:コメント内にネタバレ含みます】

カミツレさん、
お忙しい中でのコメント返信、感謝感謝です!

ヘミの部屋でタイプするシーンは自分も首をかしげたんですが、実はこの物語そのものがジョンスの空想もしくは現実と空想のミックスという解釈は、かなりしっくり来ますね。
同時に、ますます霞がかってしまった気分。カミツレさんの書かれた湖を臨む丘のシーンや、井戸の存在を肯定する母親、そして時計も猫も、いよいよ曖昧なものに思えてしまいます。

その解釈だと、ジョンスの暗い感情もより際立つ気がします。脇目もふらずヘミを探しているように見えた彼が、実は都合良く物語を書き換えていたのだとしたら……それは物語の真相が彼の望まない結果に成り得ることを、彼も認識していたことになります。
彼にとっては、動機も私怨もあるベンがヘスを"消した"犯人であることが、最も望ましい真相のはず。それならヘミ失踪は自分のせいでは無い。良心の呵責に苦しむ事も無い。

ラストが現実か空想かは僕ももはや確信できないのですが、普通ならヘミの行方をベンへ尋ねるべきあの場面で、ジョンスはいきなり彼を刺し殺してしまいますよね。
ジョンスはもう、ヘミやヘミを“消した”犯人を探すこと以上に、「ヘミを“消した”のは自分ではない」と証明することに執着していたのかも。だとすると、なんとも身勝手で、滑稽で、悲しい。
せめてあれが現実ではなく、ジョンスが心を整理するための文章内表現だったと思いたいです。

非常にワクワクする解釈でした!
さて、『JOKER』100票は僕も
Σ(;゜д゜)ホァッ!?な感じで。
書き始めた頃は1,2票でメチャクチャ舞い上がってたもんですが、それが100票……ありがたい……。けどまあ、自分の正直な感想を他人様にキチンと伝わるよう書くのが第一なので、初心忘れず奢らず頑張ります。
それに最近! 映画情報収集/発信用にTwitter始めたら! そっちにウツツ抜かしてレビュー怠けまくってますからね! ダメダメレビュアーですよあたしゃ! すみません! 書きます!

随分と寒い時節になってきました。
カミツレさんも相当にお忙しいようですが、体と心の調子にはくれぐれもお気を付けて。ハチミツ生姜湯飲みまくってください。だいたい何でも効きますからハチミツ生姜湯。

字数ギリギリ!
頑張り過ぎずに頑張ってくださいね。では!!

浮遊きびなご
カミツレさんのコメント
2019年11月4日

【※このコメントには終盤のネタバレが含まれています。未見の方はご注意ください。】
 さて、きびなごさんの『ジョーカー』のレビューの方にも書かせていただいた、「虚構と現実の問題」に関して思いついたことを述べたいと思います。
 物語中盤以降、ジョンスが失踪したヘミの行方を追う中で、現実なのか虚構なのか判然としない場面がいくつか出てきます。例えば、ジョンスがベンの車を追って山道に入っていき、最後にダムの見える丘にたどり着くシークエンスは、不自然な点も多く、これはジョンスの夢か妄想ではないかと私は解釈しています。
 また、ジョンスは小説家志望であることを何度か口にしていますが、作中で彼が小説を執筆している場面は全くといっていいほど出てきません──ある一場面を除いては。
 ラストシーンにつながる、ベンが自宅で女性に化粧をしている場面の直前、ジョンスはアパートのヘミの部屋でパソコンに向かって何やら文章を打っているように見えます。パソコンの画面は見えませんが、これは小説を書いているのではないでしょうか。
 『ジョーカー』のアーサーが「ジョークを思いついた」と言って、どこまでが現実でどこからがジョーク(=虚構)なのかがはっきりとしないように、本作もどこまでが現実でどこからがジョンスの妄想なのかがはっきりとしない造りになっています。
 だから、「ラストシーンはジョンスの小説(=妄想)の内容」という解釈も成り立つのではないでしょうか。
 ただし、この場合、ジョンスは自身の妄想を小説という形に昇華できたのですから、彼にとってラストシーンの出来事は単なる妄想ではなく、“心的現実”と言えると思います。そう考えると、どうしようもなく救いがないと感じられた結末も、少し違った見方ができるのではないでしょうか。

カミツレ
カミツレさんのコメント
2019年11月4日

浮遊きびなごさん、コメントいただきありがとうございます。
そして、返信が大変遅くなってしまい、本当にごめんなさい!(>_<)

この『バーニング』のレビューは、これまで書いたレビューの中でも一番の難産でした。
公開初日とその翌日に二回観たものの、書く内容がまとまらず、「ああでもないこうでもない」と書いたり消したりしながらもがいているうちに、投稿まで二週間もかかってしまったことを憶えています。
一番苦しい執筆作業だったこともあってか、映画そのものもレビューも非常に思い入れのある一本になりました。
「歯ぎしりしたくなるほど綺麗」だなんて最大限の賛辞までいただき、本当にうれしい限りです!
まぁ、私もきびなごさんのレビューの巧さと美しさには歯ぎしりが止まりませんが(笑)

カミツレ
浮遊きびなごさんのコメント
2019年10月19日

【注意:コメント内にネタバレ含みます】

カミツレさん、浮遊きびなごです。

やっと『バーニング』鑑賞しました。カミツレさんが書かれた通り、複雑ですが様々な見方ができる作品で非常に面白かったです!
レビューに一言一句共感……という以上に、この怪奇な物語を論理的且つエモーショナルに綴った上で原作比較までしっかり織り込む筆力に唸ります。燻る/熾る/燃え上がるの三段構成も歯ぎしりしたくなるほど綺麗です。

僕もやはりベンがヘミの失踪に直接関係があるとは思えなかったのですが(最後の発言など特に)、それでもジョンスが彼に疑念と殺意を抱くのは当然と思いました。『古く汚く目障り』だと勝手に存在価値を判断し、それを燃やすことを自然の摂理のように語るベンの高慢さには唖然。母の服を燃やされた記憶と焼かれたビニールハウスがダブる夢は、自分の大切なもの(ヘミ)を“無価値だ”と焼かれる恐怖と怒りからだったんでしょうか。

ヘミも哀れで。
ジョンスとの昔話が事実かは分からないけれど、見えない蜜柑のようにそれらを事実だと自分の中に落とし込み、ジョンスを通して自分が世界に存在する価値を確かめたかったのかも。だけど、自分を暗い井戸から掬い出してくれるはずの人からの酷い言葉に傷付いて、いよいよ“最初からいなかったように”消えることを選んだのかも。寂しい話、何かを都合良く信じることも、自分の存在を保つ上で時には必要なことなのかもしれませんね。

脳ミソかき回される上質なミステリドラマだったと思います。良い映画を紹介してくださって感謝です。
毎度長々とすみません……。コメント返すのも大変と思いますので、返信お気になさらず! それでは!

浮遊きびなご
カミツレさんのコメント
2019年2月18日

kossykossyさん、コメントいただきありがとうございます。

私たち観客は基本的にジョンスの視点で物語を追っているので、知らず知らずのうちにジョンスの主観に引っ張られているんですよね。
だから、ベンの家で猫を見た時点で「この猫ってボイルなんじゃないの?」とどうしても考えてしまいますし、半ばその可能性を信じてしまっています。
でも冷静に客観的に見ると、そうでない可能性も十分に考えられるんですよね。腕時計も同様の仕掛けになっていると思います。

カミツレ
kossyさんのコメント
2019年2月17日

こちらにもお邪魔します。
「ボイル」とベンの猫に呼び掛けるシーンは気になってました。
ヘミの家では全然反応しなかったのだから、反応するというのは違う猫だと言ってるような気もするし…
やはり深いですよね~

kossy
グレシャムの法則さんのコメント
2019年2月17日

狂おしいまでの情念の帰結としてのあのラスト、また、本作がミステリーとしての明確な解を必要としないという点、大いに共感致します。
理不尽な状況での大切な人の喪失、現実世界とは別の、しかし現実世界に大きな影響を与え得る別の世界の入り口である井戸、個人を抑圧する機器としての社会的なシステム(この映画ではポルシェに象徴される経済格差がメインなのだと個人的には考えてます)等々、村上春樹さんがしばしばテーマとするものが確りと描かれていると思います。
「いや、でもあなたのことは信頼してましたよ。お世辞じゃなくてね」
原作のこの言葉とジョンスのヘミへの情念が〝狂おしい〟までにリンクして頭を離れません。

グレシャムの法則