劇場公開日 2020年1月18日

「A-1の制作力の真価が発揮された艦船描写が光る作品」劇場版 ハイスクール・フリート Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5A-1の制作力の真価が発揮された艦船描写が光る作品

2020年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

萌える

この作品を語る上で『ガルパン』がだいたい同じテーブルに上がります。アチラは陸軍、コチラは海軍です。原案の鈴木貴昭と言う人物が関わっている事から、あの大人気作のスタッフだから‥‥的な誘導を勘ぐるわけですが実際どうでしょうか。ただTV版の吉田玲子の名は今作にはありません。

結論から言いますと、表題以外が何もありません。一部作画が乱れた所を除きサスガA-1と言えますが内容は凡作です。それは、TVシリーズからの趣味の不一致が劇場版にもやはりシッカリ症状として現れた事によるもので、同じ様な感覚を『艦これ』にも持ったものです。
どうしても?大鑑巨砲の大和に女の子を乗せたかったと言う目的に主軸があり、そこにコテコテ肉付けするにあたって無用に質面倒な設定やら何やらを織り交ぜた結果、そのやりたい目的以外の全てがソレをお膳立てするだけの存在と化した感が拭えません。

メカニカル描写も業界慣習考証もあれ程力を入れて再現し、その辺がカッコ良かった事に異論はナシですが、ソレ以外の女の子たちのドラマ、お話のネタ・ストーリーは取り立てて劇場版仕様とは言えず、惹きつけられる要素も特にありません。敵との攻防などは戦隊ヒーロー物と同じベクトルに感じた程で、字に書いた様な表面的な展開に終止してしまいました。
お話の中心は大和ではなく「晴風」ですがソレも色物扱いに感じてしまいました。台詞の掛け合いとか訊いてても、やっぱし大和やその艦砲射撃を魅せたいのかなと。そして個々の女の子達の魅力もそれ程特徴付いたものではありませんし、菅原文太ネタも微妙‥‥

結局、見た目は凄いのに中身がパッとしないために相殺されて凡作止まりと言う結果です。前半のイベントシーンも展開にめり込む重要な部分ではない様ですが、かなりの尺を割いています。スーザンを絡めるにしては大掛かりですし、寧ろその分を敵の描写に回せなかったのでしょうか? CGで艦船を動かすのに時間と予算が足りなかった的な大人の事情を彷彿させています。
そして、軍上層部のやり取りがサッパリ解りません。

そんなこんなで、まァ言ってしまえばTVシリーズの時点からイロイロ難しく厳しい素材だったんだろうなと言う感想です。同人発祥の企画としては商業レベルに磨ききれなかった製作技量や、そもそもその辺の趣味の不一致が原因なのかなと思われます。
(文中敬称略)

Geso_de_Nyoro