劇場公開日 2018年6月30日

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「ぐるぐる」パンク侍、斬られて候 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ぐるぐる

2024年1月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

賛否両論が別れる映画っていうのは、良くも悪くも「最高」と「最低」に別れるものである。フツーは。
だが、「パンク侍、斬られて候」はどうだ。こんなに全ての点数が拮抗している映画は滅多にない。
この点数のバラバラさ加減が、この映画への興奮、困惑、嫌悪、礼讃、そしてどれでもない何らかの刺激を示してるんじゃなかろうか。

私の話をすると、茶山さんが登場した瞬間の衝撃と言ったら令和最初の大インパクトだった。
暫く茶山さんの、顔が、顔…ダメだ、笑いが止まらない…!
あれは夢に出るレベルだね。

パンク、なのかは判然としないが、この映画は「滑稽味」を感じる映画だ。作中、猿回し奉行に任ぜられる主膳(國村隼さん!)がなげやりに解説するように、弱い者が強い者に一杯食わせたり、愚か者が賢者を凌駕したり、それらによって翻弄される様を「こりゃあ傑作!」と笑う。
それが芸の醍醐味であり、真髄なのだと。
堅物で正論しか言わない殿にはそれがわからない。
猿が小判を箱に入れる。それだけを淡々と見せられて、何が楽しい?集めるはずがバラ撒いてしまって慌てる猿回しの滑稽さ、猿に小判の価値を説くしょーもなさ、そういう諸々の「余計な部分」を楽しめないなら、猿回しには意味がない。

翻って、本編に対し、さして意味もなさげな大騒動を「滑稽だ」と笑えなければ、この映画を観る意味はないのだ。
御せると踏んでいたニセ宗教の、劣化二番煎じに翻弄される様を楽しめないなら、じゃあ何を楽しむのか?

この物語は、掛十之進という稀代の猿回しを観る映画だ。本当に猿も出てくるしね。

それにしても、茶山さんは最高だ。あんなぐるぐる見たことない。特にまぶたのぐるぐるが良い。
セリフがほとんど「あっ、ああ」とか「おおっ」しかない。それも良い。
多分、半年くらい茶山さんのモノマネだけで楽しい毎日が送れそうである。良かった、良かった。

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つとみ