劇場公開日 2018年12月14日

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「世界よ、これがバトルアニメだ」ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5世界よ、これがバトルアニメだ

2019年2月24日
PCから投稿

よくあるファン向け(というよりファンに媚びた)テレビアニメの延長線上にある二次創作的なアニメ映画とは一線を画している。間違いなくドラゴンボール映画の最高傑作。

そもそもテレビアニメの延長線上でアニメ映画を作るなど土台無理な話だ。この作品は「アニメとしてのドラゴンボール」の魅力や個性の本質のみを抽出して、それを劇場版アニメーションとして最適な形でアウトプットできている。作品の存在自体がとてもマトモなのだ。

逆に言えばほかの少年漫画原作のテレビアニメ原作のアニメ映画は、こんなマトモさは感じることができない。所詮はコンテンツ利用でカネを儲けることが最大の目的でしかないのだから。

物語の導入が非常に丁寧で、テレビアニメや漫画原作とは違う特別感は十分に感じられるし、一方でこれがまごうことなきドラゴンボール世界のお話なのだという説得力もあった。
サブキャラクターが豊富なドラゴンボールではあるが、彼ら彼女らの出演は最低限に留めメインキャラクターである悟空・ベジータ・ブロリーにできる限りの時間を費やしている点も素晴らしい。

そして「ドラゴンボールの本質はバトルである」との定義のもとで描かれる圧倒的な戦闘描写は、もはや語りきることができない。
最近ぎゃんぎゃん叫んで誤魔化す演出が増えていたが、今作ではしっかり格闘をするシーンも長く盛り込み、空間を飛び交う派手な応酬も氷やマグマや謎の異次元(?)などのステージ演出を最大限に利用することで飽きることなく見せつけてくれる。ここにドラゴンボールのバトルのすべてが置いてあるような、そんな感じだ。

劇伴も素晴らしいという点も見逃してはいけない。野沢敦子の「ヌゥァァァァァ!!!!」しかセリフらしいセリフがない長い戦闘シーンに、突然「ブロリィィィィィィ!!」とぶち込んでくる破壊力は、おおいに気分を盛り上げさせてくれる。

総じて硬派な印象を受けるが微笑ましいネタもほどよく差し込まれていて楽しい。身長気にしてるフリーザ様可愛い。時間稼ぎでサンドバッグにされてるフリーザ様可愛い。姑息な手段でブロリーの超サイヤ人化を促すフリーザ可愛い。

インフレが続くのがドラゴンボールの常だが、悟空ベジータ2人がかりで歯が立たずビルス超えすら言及されるブロリーの強さは、すばらく天井として扱われるのではなかろうか。

チライエロ可愛いすぎない? これ狙ってるよね?

ヨックモック