劇場公開日 2018年2月6日

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「終盤までしっかりと謎解きの楽しさを残してくれる」切り裂き魔ゴーレム ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0終盤までしっかりと謎解きの楽しさを残してくれる

2024年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

上質なサスペンス。19世紀イギリスの雰囲気もおどろおどろしい感じが表現できていて、こりゃーいい映画に出くわしたなーと終盤までは満足な展開。

冒頭はある劇作家クリーの服毒死から始まり、自殺と他殺両面が考えられる状況だったがメイドの証言から劇作家の妻リジーが容疑者として逮捕される。
一方で最近起こっている連続殺人の捜査を任されたキルデア、そのゴーレムと名乗る連続殺人の容疑者の中に、この服毒死を遂げたクリーが含まれてた。
この二つの事件のカギとなるリジーの半生を追いかけつつ、殺人の真相に迫っていく。

リジーが大衆演劇の人気女優、死亡した夫が売れない劇作家、そしてリジーが人気女優に上りつめた演劇場の看板俳優ダン・リーノの三人がそれぞれ複雑に絡み合う人間関係を表現するために、大衆演劇の上演シーンが幾つか挿入され、それらがまた事件を反映させるような内容だったり、犯人が残していった本に刻まれた殺人の記録の筆跡を照合するため、ゴーレムと思しき人物に日記の内容を書かせつつ、その記載している容疑者があたかも殺人を犯しているような再現描写があったりと、いくつもの方法で物語を煙に巻いてくる。

どんどん容疑者が絞られ、リジーとクリーの服毒事件の真相も少しずつ明らかになっていく中で時間だけがどんどん過ぎてしまい、ついにリジーの夫クリーへの服毒殺人事件に対する判決が下される日がやってくる。

真相が徐々に明らかになっていくタイミングもれぞれの仕掛けも面白くて、結構終盤までずっとハラハラドキドキ。オチも自分的には相当驚いたし、えー!って声も出そうなぐらい。

それだけに、最後がちょっとどうなのよと思ってしまった。オチがどうこうとか、犯人がどうとかそんな話ではなく、むしろそれはまずまずよくできた話なのに、結末が何パターンも出てきてどれがホントか分からんという、今まで感じたことのない戸惑いを感じつつ、そのままよく分からないまま終了してしまった。

大したことない伏線の回収は別にええんだけど、なんか大事なところはちゃんとどうなったかはっきりして欲しかった。欲を言えば犯人の殺人動機もさっぱり見えんかった。
あれでは単なるサイコパスですな。

結末だけはもっとシンプルにして欲しかった。他はまずまず楽しめた。

ハルクマール