劇場公開日 2019年2月8日

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「まったくこの映画を分かってない感想が並んでいて驚いた!」ファースト・マン ブロディー署長さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まったくこの映画を分かってない感想が並んでいて驚いた!

2023年4月24日
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この映画は、人類が地球以外の星に初めて降り立った人が、なぜ、その後もヒーローのように振る舞わず謎の人物のまま消えていったのか、そのことを本当に突き詰めて、人間とは何かというレベルまで描いた作品。もちろんエンターテイメント的な要素なんてゼロ。
アームストロングは、なぜ人々が恐怖の対象でしかなかった宇宙に、多くの人が死んでいく訓練に、まったく動じず氷のような冷静さで耐えられたのか。世間では、アームストロングは、冷血すぎて好きじゃない、暗い、人間じゃない。こう言われた。
最愛の娘が耳が聞こえないことに気づいた、その治療のため、アームストロング一家は仕事を変え、病院の最新の治療を求めて何度も引っ越し、懸命に彼女の命を伸ばそうとあらゆる努力をしたが、ついに力及ばす亡くしてしまった。しかも、娘が耳が聞こえなくなったのは、アームストロング自身がちょっと目を離したすきに、石に蹴躓いて転んだことが原因ではないかと…
アームストロングは、そのあまりに深すぎる心の傷で、
娘が亡くなった日からこの世を生きる人として実はすでに死んでいたのではないか。
奥さんも、長男も、仕事も、世間も、米ソ冷戦も、宇宙への挑戦も、実は何も目にうつっていなかった。
彼の中には、何も無かった。とっくに心は死んでいた。
友人や、奥さんや、誰に慰められても、パーティーでも、1人、庭に出て眺めているのは夜空に浮かぶ月。
西洋では、昔から、太陽は生命の象徴、生きる力。月は死の象徴、死んだ人が行く場所。
アームストロングは、人々が苦しみ挑戦者の半分が死亡する人体実験のような訓練も、稚拙な技術力での月への無謀な挑戦も、まったく怖がらなかった。鉄の男と世間では称賛されたが、実は違った。彼は最愛の娘がいる、死の星に取り憑かれていて、その月に早く行きたかった。つまり、早く自分も死んで、死んだ娘のことだけを毎日考え続けるだけの、つらいこの世からいなくなりたい。娘が死んだ日から、それだけを1人心の内で願っていた。そして、数々の軌跡があり、本当に人類初、月に辿り着いた。月の「静かの海」その深い深い暗闇に、娘の手作りのブレスレットを、そっと落とし、自分の中で、結論をつけた。さようなら。

ブロディー署長