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ザ・ロック版「ダイ・ハード」は、狂った高所恐怖症殺しで堂々「ジオストーム」枠入り!
  アクション映画というものは、生身を危険にさらしたスタントにこそ価値があり、グリーンバック合成を多用する作品を「安全圏に逃げてんじゃねぇよ」と感じる人も少なくない。だがドウェイン・ジョンソンの場合、むしろVFXで構築した非常識な世界でないと、その超兵器のごとき存在の居場所がないのだ。トム・クルーズが全長30メートルの怪獣と徒手空拳で戦うなんて嘘くさいが、ドウェインならば「まぁ、ロック様だしな」で全てが許されてしまう。

  耳なじみの薄い題名は「摩天楼(高層ビル)」を指す言葉。このタイトルにドウェイン主演ときて「やさしい味がするヒューマンドラマ」だと思うヤツは、人生あまり差し迫った悩みのない呑気者だろう。全高なんと1000メートル。ロック様がそんな「あべのハルカス」の3倍以上ある超高層ビルにぶらさがり、最上階によじ登るなど、次々と降りかかる難関をタフにクリアしていく「高所恐怖症殺し」のライドアクションだ。

  とはいえロック様、1000メートルどころか成層圏から蹴落とされてもピンピンしてそうなイメージゆえ、今回は過去の任務の失敗から、肉体と精神的ダメージを負ったという設定が与えられている。この元FBI交渉人のセキュリティ専門家が、消防システムを遮断したテロの策謀にはまり、猛火に包まれたビル内の妻子を救わねばならなくなる。

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  高層ビルを舞台にしたアクションと聞いて、多くの人は名作「ダイ・ハード」(88)が頭をよぎるに違いない。だがあの映画に登場するビルは実在のものを撮影に用いており(爆破シーンは特撮)、ブルース・ウィリスの恐怖体験を観客も実感することができた。ところが今回のビルは全く架空の産物で、外観はほとんどがCGで作られている。物質的な実体のないものに怖さなんか感じないだろ、と思いきや、CGの高い精度と3Dレイアウトの精巧さによって、意外や身のすくむ高低差に襲われる。人間味の利いた設定も合わせ技となり、ロック様の「天空地獄めぐり」に股間がキュッと縮むようなリアリティを覚えるのだ。

  そんな「ダイ・ハード」を筆頭に、ありとあらゆるアクション映画の危機的シチェーションが編み込まれ、過去の名作のパッチワーク仕様になっているところもゾワゾワと狂っていて楽しい。「タワーリング・インフェルノ」(74)や「アビス」(89)さらには映画の舞台(香港)に目配りしたであろう「燃えよドラゴン」(73)など、これでもかと投入された具から美味しいダシがたっぷりと出ている。そして誰もが満腹になったお腹をさすりながら、その食感を帰宅後「ジオストーム」(17)や「ランペイジ 巨獣大乱闘」「MEG ザ・モンスター」(18)と同じフォルダ内に収めることだろう……って、今年だけでこのワク、既にいっぱいじゃないか!

(尾崎一男)


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