劇場公開日 2018年7月6日

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「ラストの余韻が後からじわじわくる。」バトル・オブ・ザ・セクシーズ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラストの余韻が後からじわじわくる。

2018年7月22日
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女性の地位向上を願う女子テニス選手と、女性蔑視のクソ野郎とのエキシビジョンマッチの物語……と、単純化して説明したくなるが、実際に観てみるとそんな簡単な話ではない。

例えば女性の恋人ができた主人公ビリーに対して、誰よりも先に事情を察して警告しようとするのはアラン・カミング演じるゲイのファッションコーディネーター。なぜなら彼は、女性の地位向上以上に、同性愛への差別と偏見の根深さを身に沁みて知っているから。

対戦相手のボビー・リッグスも、本気で女性蔑視なわけではない。悪ふざけで話題を集めて、注目とカネを引き寄せようとしているだけだ。

この映画を観ていて、ボビーが戦っている相手は実はボビーではないと思わせられる瞬間がいくつもある。女子テニス選手が解説員としてテレビに出演して、終始オッサンの司会者が片腕を彼女に回している気持ち悪さなど、解決されないが明示されている要素も多い。

最後にアラン・カミングが粋に〆てくれる台詞も、ジーンたち女性の戦いがまだまだこれからであることを示唆している。つまりこれは昔話ではないのだなあ。

村山章