劇場公開日 2018年6月8日

  • 予告編を見る

「静かで心地良い作品」Vision 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5静かで心地良い作品

2018年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

今作は何と言っても河瀬直美とジュリエット・ビノシュの組み合わせでしょう。何しろ三大映画祭全てで受賞した役者です、どんな化学反応を見せてくれるのか大変興味ありました。
始まるとまず、とにかく息を呑むような自然の美しさに圧倒されます。
その物語はとても抽象的で、その解釈は見た人間に委ねられている作品です。
つまり「河瀬の色」が大変強い作品です。
なんで?といったフックがたくさんあり、そのほとんどに明確な説明はありません。
だけど不快なしこりが残るわけでもなく、最後まで森に包まれているような気持ちのまま見ることができました。
期待していたビノシュは演出が抑えめで、なんだか大自然の一部のようです。むしろ夏木マリの圧倒的な存在感でしょう、怪演といってよいのではないのでしょうか。
舞台挨拶で数回「何度か観てもらい…」といった言葉を耳にしましたが、何度かこの作品という森に触れてもらい、何かを感じ取って欲しかったのでしょう。
確かに観る人を選ぶ作品だとは思いますが、何度か観るとまた見えかたも変わりそうです。
吉野の大自然と、そにに住まう生き物の輪廻を感じる、静かで心地良い作品でした。

白波