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配役ミスが痛い
印象:
鑑賞方法:映画館
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評価:[2.5]

 田中角栄の日本列島改造で全国の上下水道が整備されてから、この国の衛生環境は飛躍的に向上し、年々寿命が延びてきた。比例するように健康寿命も延びてきて、同じ年齢でも昔の人と今の人では見た目からしてまったく違う。見た目が若々しい人は体力的にも若々しい。昔の還暦に出来なかったことも、今の還暦は楽々とこなす人がいる。いまや「年寄りの冷や水」や「老体に鞭打つ」といった慣用句は死語になりつつあると思う。
 主役の舘ひろしはコミカルな演技で、ともすれば重く暗くなってしまいそうな老いというテーマを、明るく笑い飛ばせるものに変えている。自分勝手で元気が余っているから、俺はサラリーマン人生をまっとうしきれていないと吠えてみたり、若い女性を相手にポテンツの心配をしたりする。情けなくも可笑しい場面である。ホテルのレストランで指を鳴らすなど、バブルを引きずっているところもあり、観ているこちらが気恥ずかしくなりそうだ。それもこれも、健康寿命が延びたから可能になった話で、この作品はいまの時代だからこそ成立する作品なのだ。
 老いらくの恋の相手役をつとめたのは広末涼子。最近おばさんの役が目立つが、まだまだ美人として通用する。女性としてのコケットリーも十分だ。
 妻役の黒木瞳はもともと表情の冴えない女優で、本作ではその欠点が露骨に出てしまった。子供がいる娘の年齢から察するに、主人公とは多分三十年以上連れ添っているはずだ。それだけの年月一緒にいれば夫婦の呼吸というものがあって、互いの気持ちが通じているところがあるはずだ。勿論何もかも通じ合えるものではないが、少しは思いやりの気持ちが垣間見えてもいい。しかし黒木の演技からは、思いやりも女の優しさの欠片も見えなかった。決して脚本のせいではない。まったく同じ台詞でも、喋り方によって全然違ったニュアンスになるのは誰でも知っている。配役ミスなのではなかろうか。
 そんなこんなで、ラストシーンもリアリティがなくなってしまい、映画としての完成度が著しく落ちてしまった。老いてからの承認欲求という、現代に相応しいテーマの作品で、舘ひろしや広末涼子がよく頑張っていただけに、殊更残念である。

2018/06/23 耶馬英彦さん

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