劇場公開日 2018年2月2日

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「カニバリズムに取り憑かれただけで無い」RAW 少女のめざめ 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カニバリズムに取り憑かれただけで無い

2024年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カニバリズムを主とし、家族愛やその運命を描いた作品。
とは思えないような、青春映画のような幕開け。
入学した獣医学生の伝統的なノリが独特すぎて、変なしきたりも何だか酷い。
それにゲイだからって、男女同室とかおかしいでしょ。
そんな学生生活の中で、中で段々と滲み出る肉への欲求。
そして遂にカニバに目覚めた瞬間。その描い方は音楽も相まって凄まじいシーンでした。
一度始まった衝動は止まる事なく、ルームメイトさえも食の対象に見てしまう。
そんなルームメイトとの初体験は完全に食事の様相。
エキセントリックな姉がすごいけど、何だかんだ一番の理解者であったようにも見えました。喧嘩も絶えないけどすぐ仲直りする、二人の距離感が良いんですよね。
が、それもまた目覚めの一環で、姉が示した現実が衝撃的。
それは受け継がれていた、強烈な幕引きでした。

ただ家族や姉妹愛、そして少女の成長物語がしっかりと詰まっていた作品でもあったと思います。
特に姉のアレックスは欲望に負けてしまったのではなく、その身をもって妹ジュスティーヌに成長を促しているように見えました。
自身の指を食べられ「目覚めてしまったのか」と流す涙。
どうしても衝動を抑えられない時は、事故を起こす事で得る捕食の仕方。冒頭の映像と繋がるのもうまいですね。
自分をしっかりと維持しないと、獣そのものの姿になってしまう事を教えた映像。
そして最後は、衝動をコントロールできないと悲しい事になると身をもって教えていたようでした。
実際アレックスが殺した事にしたのかも知れません。
そして娘に託す父の言葉。
決してカニバリズムに取り憑かれた少女というだけで無い、実に面白い作品でした。

白波