劇場公開日 2018年2月2日

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「君の指を食べたい!」RAW 少女のめざめ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0君の指を食べたい!

2019年1月8日
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 ベジタリアンの加計いに育った少女ジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)がカニバリズムに目覚めていく物語。どのシーンも衝撃的であり、印象に残る部分が多かったように思う。冒頭の車を意図的に事故らせるシーン、獣医学部に入学した新入生たちが集合写真を撮影する際に先輩たちが屋上から動物の血をぶっ加計るところが序盤のショッキングシーンだった。ホラーシーンではないものの、ちょっとクレイジーな姉アレクシア(エラ・ルンプフ)が立小便して、ジュスティーヌが真似をしてオシッコを足に引っ加計てしまうところも印象に残る。

 とにかくクレイジーな全寮制であると思われる獣医学校の学生たち。新入生歓迎の意味で、テロリスト集団のような先輩たちが若い彼らのベッドのマットレスを外に投げ飛ばし、パーティに参加させるのだ。新入生の通過儀礼で最後の関門だったのがウサギの生の腎臓を食べさせられること。ベジタリアンのジュスティーヌも無理やり食べさせられ、アレルギー症状を起こして全身発疹だらけとなるのだった。しかし、その治った直後から彼女の肉への欲求が表面化してくる・・・これがきっ加計だったのだ。

 中盤、姉が妹のシークレットゾーンを無理やり脱毛しようとしていたとき、ハサミで中指を切り落としてしまう。救急車を呼ぶものの、妹ジュスティーヌは姉が切り落とした指を食べてしまうのだ・・・あぁ、おぞましい。切り落とした指を犬に食べられてしまうホラー映画は見たことあるのですが、この作品では、姉の指を犬が食べたことにしておいて、哀れ飼い犬は安楽死させられてしまう。姉にとっても、妹が自分の指を食うなんてショックだったハズだが、不思議なことにそこからも姉妹の接し方は変わらない。姉もまたカニバリズムの獣だったのだ!

 ホラーということで、これは観ずにはいられない!と臨んだ鑑賞でしたが、どちらかというと血の多いサイコ・サスペンスといった感じでした。“raw”という意味は“生肉”。しかし、『SAW』をリスペクトして付けられたタイトルのような気がしてならない。ホラー映画の特徴であるおバカな笑えるシーンも多かったように思う。ジュスティーヌの同室となったアドリアン(ラバ・ナイト・ウーフェラ)も、ゲイであるものの男だといった点や、彼がまたいい思いをしたり、最後には悲惨な目に遭ったりで個性的なキャラクターだ。そのアドリアンを殺して肉を喰らい、刑務所に入れられたアレクシアだったが、妹に中指を突き立てると同時に欠落した中指を見せるといったのも笑えるところだ。

 ただ、ストーリー的に残念だったのは、両親も同大学を卒業して獣医をやっていて、大学での儀式も知ってると思われるのに、娘2人を同じ獣医学部に入れるという点が矛盾している。父親はカニバリズムじゃないと思われるけど、解決法を見つけてほしいとジュスティーヌに傷跡を見せるラストシーンはシュールだった。

kossy