劇場公開日 2017年10月13日

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「言葉を失う人類が平和をもたらす“新種”であるという皮肉」猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0言葉を失う人類が平和をもたらす“新種”であるという皮肉

2017年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

興奮

シーザーたちが旅の途中で遭遇する人間の少女は、人類を激減させたウイルスの影響なのか、話すことができなくなっている。エイプたちが彼女に与えた名はNova。ラテン語で「新星」を意味する(スーパーノヴァ=超新星という言葉で耳にする機会が多いはずだ)が、映画では逆説的に、言葉を話せない少女こそが(エイプと共生する)新しい人類だと示唆している。

人類は意思伝達の道具として言葉を獲得し、知識を共有して次世代に伝えることで文明を発展させたが、優秀になるほど競争心も高まり、政治的・経済的・軍事的に競争相手よりも優位に立つことが至上命題となってしまった。それに対し、シーザーらは「エイプス、トゥギャザー、ストロング」と訴える。団結こそが力なのだと。人類は知識の使い道を間違っている、という強烈な風刺が込められている。

高森 郁哉