劇場公開日 2017年11月3日

「過去と現在のバランスが悪いのかな?」ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0過去と現在のバランスが悪いのかな?

2017年11月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

日本軍や満州国を揺るがす壮大なストーリーかと思ったら、思いのほかこじんまりしたお話でした。その分、現在と過去を行ったり来たりするわりには、とてもわかりやすい展開になっていました。わかりやすすぎて、かなり早い段階でおおよそのオチまでわかってしまったため、ラストの盛り上がりに欠ける印象でした。

加えて、二宮くんの演技がいまひとつ物足りなかったのも、感動的なラストとならなかった原因の一つだと感じました。彼の演技も決して下手ではないし、役にも合っていたとは思います。しかし、佐々木充の変容が伝わってこないため、ラストが薄くなってしまった気がします。

対照的に、過去シーンの西島秀俊さんと宮崎あおいさんの演技はすばらしかったです。夫を献身的に支える妻、妻の思いに触れ、その存在の大きさに気づき、生き方を変えていく夫の姿が本当によく描き出されていました。特に、山形が妻を看取るシーンは最も感動的で、涙が溢れてきました。

いっそのこと、過去シーンをメインに据え、現在シーンを無理に感動的に仕立てず、二宮くんをただの狂言回しにすればよかったのではと思ってしまいました。描き方といい、役者の演技力といい、過去と現在のバランスがちょっと悪かったかなという印象の作品でした。

おじゃる