劇場公開日 2018年3月1日

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「ヴィブラニウムという最早"概念"」ブラックパンサー 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ヴィブラニウムという最早"概念"

2018年3月11日
iPhoneアプリから投稿

音楽と映像のクールさ。それにとてもついていけてない人間達のダサさと、300度巡り巡ってそれもイケてる、と思わせるエンターテイメントに溢れるSFアクションムービー。黒とネオンパープルを基調としたCG映像がわたし好み。
題材となる未知なる万能の鉱物『ヴィブラニウム』は鉱物でも何でもない、マーベルが好き勝手やっていいよ!という"概念"のようなものなのだ。マーベルだからこそ許される。

観終わって出てくる感想は、小学生の感想文の羅列のようなものばかりである。
「文明が発展しすぎると、国は途上国の真似をし始めるという事を知りました。とても驚きました。」
「他民族の人間に口を挟まれると、皆でウッホウッホ言って威圧するのが効果的という事を知りました。とても驚きました。」
「妹の服装がオシャレ過ぎてとても可愛かったです。」
「テクノロジーがある程度進歩すると、もう文明の進歩を見出せなくなるのでしょうか?やたらと儀式と挙動が現代文化を遡って派手になっていたと思います」などなど。などなど…。
大人になった今でこそこんな単純な感想しか出てこないのだから、こども時代の自分が観てもさぞ満腹感を得られたことと思う。
ワクワクするようなテクノロジーと、それを浮き彫りにする途上国らしき文化とのコントラスト。ワカンダを護ろうとする思いと、世界への扉を開けるべきだという葛藤のせめぎ合いが猛々しくも美しい。
完全なるSFアクションなのにどことなくシンパシーを感じずにいられないのは、ワカンダの心よりも悪役の持つ心の方に私達は近い思いを抱くからであろう。

予告編を観た時は地雷臭しか持てなかった本作品は、『キャプテン・アメリカ シビルウォー』で描かれたワカンダの正義感を見事に受け継ぎ、4月公開予定の次作へと繋げている素晴らしいスピンオフだった。

妹の服、全部特注だよね?
欲し過ぎる。好みドストライク。次はシュリのスピンオフ待ってます(真顔で

幸ぴこ