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◆ブラックパンサー

マーベルが生んだ黒豹は、スーパーヒーローの多様性を高らかに叫ぶ
  2017年は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」「スパイダーマン ホームカミング」そして「マイティ・ソー バトルロイヤル」と、笑劇ポップ路線の連投だったMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。こうした球スジから予想される今回の「ブラックパンサー」は、文化カラーの違うアフリカンなスーパーヒーローを、いわゆるブラック・スプロイテーション的なテイストを利かせて投げ込んでくるだろうと個人的にはタカをくくっていた。そもそもヒーローがネコ科の耳を持つ時点で説得力皆無だろ、と思って作品を観ると、まさかの重厚さと壮大なストーリーがみぞおちをグサッと突き抜ける。

  爆破テロの急襲によって亡くなった父の後を受け、ワカンダ国の王位を継いだ若き王子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)。そんな彼の使命は、高度な文明とテクノロジーを持つ自国の秘密を守り、他国の侵略を防ぐこと。そのために王国の守護神であるブラックパンサーを世襲し、ワカンダを脅かす陰謀に立ち向かっていく。

  映画はそんなティ・チャラと、ワカンダの文明を支える超鉱石ヴィブラニウムを奪い、歪んだ正義をおこなおうとするヴィラン、エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)との戦いを描いていく。そして「王国の秘密を死守していくのか」それとも「世界全体の平和のために立つべきか」という究極の選択をティ・チャラに迫っていくのだ。

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  監督のライアン・クーグラーは「ロッキー」外伝ともいえる前作「クリード チャンプを継ぐ男」(15)で、偉大な父の存在に抗おうとする2代目ボクサーの葛藤を描いた。本作もまた同テーマを反復し、王位を受け継ぐ息子の苦衷と、正義に向かおうとする覚悟を描き出す。加えてアクション演出も「クリード」ばりに長回しを多用するなど、大型のフランチャイズ映画でありながらも個性豊かな作家性を主張している。

  なにより「いつか自分のルーツに触れた作品をやらなければ」というクーグラー監督の野心が、西洋の価値観や神話性から脱却した、まさに新しいスーパーヒーローを生み出すことに成功している。それは今から約半世紀ほど前、ヒーローの多様性を模索してきたスタン・リーが、当時のブラックパワーを反映させ、時代を象徴する「黒人を主人公とした超人」をブラックパンサーという形で成就させた、その精神を継受したものといえるだろう。来たる「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の布石ではない、MCUの今後をも示唆する革命的作品に出会うことを覚悟しといたほうがいい。

(尾崎一男)


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