劇場公開日 2016年2月27日

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「まずまず無難にはまとめたラッセル・クロウ初監督作品でした」ディバイナー 戦禍に光を求めて スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5まずまず無難にはまとめたラッセル・クロウ初監督作品でした

2017年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

何の前知識もなく、ただただあの名優ラッセル・クロウの初監督作と言う文言にのみ惹かれて鑑賞した映画でしたが、これは多少の前知識を入れておいた方がスッと入っていける映画だったかな。
最初状況を把握するのに、ちょっと混乱してしまいましたので。
オーストラリアが連合軍として参加しトルコに攻め入った第一次世界大戦・ガリポリの戦いの歴史背景を、ほんのりぐらいは知っておいた方が、よりスンナリと物語に入っていけるのではないかと・・・(私は結局見終わってから調べる破目に)
まあ私が無知なだけで、もしかしたらそんなの普通に常識なのかもしれませんが。

ただこう言うと物凄く堅い映画のようですが、全体的に見ればそこまで堅い映画ではなく、エンタメ要素に溢れたとても見易いヒューマンドラマに仕上がっていたと思いましたよ。
家族・兄弟の絆あり、アクションあり、ちょっとした恋愛要素もあり、国境を越えた友情あり、やや詰め込み過ぎの感は無きにしも非ずでしたが、初監督作品と考えればまずまず及第点、とりあえずは無難にまとめたのではないかなと。
そしてラッセル・クロウが自ら演じた主人公が、ヒーローのような存在とは違い一介の農夫だったところなんかはとても好感が持てました。

とは言え、まあそう言う人物だと序盤で伏線は敷いてましたが、主人公の勘がいくらなんでも鋭すぎだったような?
あの辺の見せ方はホント下手でしたねぇ~、ところどころファンタジーのようになってしまったのが本当に惜しい、せっかくの重厚なドラマが、何ケ所かある勘の鋭いシーンで一気にトーンダウン、そこ以外は概ね悪くない作品だっただけに、少々勿体無いと言うか悪い方に初監督らしさが出た印象を受けてしまいました。
あと息子達の何か印象に残るようなキャラ付けも出来れば欲しかったかなぁ、作り方によってはもうワンランク上の感動が待っていた気もするので、その辺りも個人的には惜しいなと思ってしまいましたね。

しかしながら、戦争の虚しさ、悲惨さを伝えるには十分な作品でした。
何が正義かなんて関係ない、戦争はただただ悲惨で虚しいものだと、庶民目線で語った作風はまずまず説得力があったのではないでしょうか。
敵だった者との交流・友情なんかを見ると、一体戦争って何だったのだろうかと、思わず考えさせられてしまいましたよ。
それと話の本筋からはブレた感もあるオルガ・キュリレンコが演じた女宿主とその息子との交流も、個人的には話のいいスパイスとなって心癒されたところもあり、何気に好ポイントでした。

スペランカー