劇場公開日 2016年3月5日

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「難解な様で誰しもに刺さり得る表現、心をざわつかせる天才」ロブスター ezioさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0難解な様で誰しもに刺さり得る表現、心をざわつかせる天才

2024年2月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

寓話的で抽象的だが、作り手が伝えたいことは伝わりやすいように出来ている
現代社会を皮肉りつつも、ドコをどうやって皮肉っているかを満足いくように汲み取りきれずもどかしくなる。その一方で(良い意味でも悪い意味でも)心揺さぶられ心に残る"なにか"は確かにある
アート的難解SFという印象だけで観ないという選択はもったいないと思う。
眠たくはなるかもしれないが。

そしてなんと言っても撮影が素晴らしい。美しく陰鬱なストーリーを表現しながらバキバキに映し出される情景には展開も相まって息を呑む

動物にされるって死ぬより哀しさがないか?
"共通点"はそんなに大切なものなのか?
普遍的な愛を描きつつ嘘を糾弾するが、現実ってそんな綺麗事ですまないし
やっぱり孤独は辛いが楽。
「価値観が合う人を〜」なんて現代に溢れた言葉だが、そこには希望や慢心、身勝手で自由な幻想しかないんだからどうしようもない
他人事で笑わせてくれる映画だが、心の奥底では笑っていられない。
無慈悲な映画
幾つか色んな意味で痛いシーンもありザワザワさせてくれた

ラスト、他の方のレビューにあった「実は女は見えていたのでは」という視点には少し腑に落ちるものがある

ezio