劇場公開日 2014年5月30日

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薔薇色のブー子 : インタビュー

2014年5月29日更新
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指原莉乃×福田雄一監督 「薔薇色のブー子」で目指した正統派アイドル映画の継承

アイドルグループ「HKT48」の指原莉乃が、「ミューズの鏡」に続き、盟友・福田雄一監督とタッグを組んだ「薔薇色のブー子」。昨年のAKB48選抜総選挙で頂点に立った指原への“ご褒美”として製作された本作だが、指原演じる主人公・ブー子は落とし穴に落とされたり、瞬間接着剤が付着したベンチに座ったり、激まずラーメンを食べてお腹を壊したり、バスジャックに巻き込まれたり、車にはねられたりと終始災難続き。指原本人も変顔をしたり、白目をむいたりと到底アイドルとは思えない扱いで、イジられキャラの本領を発揮している。(取材・文・写真/内田涼)

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映画は実家に引きこもる女子大生・幸子(普段から文句ばかり言っているので、ブー子というあだ名がついた)が、「自分を変えよう」とTwitter上で知り合った男性とデートの約束をとりつけるが、待ち合わせ場所に向かう途中、次々と不幸に見舞われてしまうという“アンラッキー・コメディ”。福田監督が指原主演を想定し、オリジナル脚本を書き下ろした。「私も普段から文句ばっかり言っているので、共通する部分はたくさんありますよ」(指原)。

スクリーンから伝わってくるのは、「ミューズの鏡」、そして深夜バラエティ「指原の乱」で培った指原と福田監督の揺るぎない信頼関係だ。「私にとって福田監督は……、お友だちです! さすがに撮影中は監督だと思って接していますけど、私の性格の悪さをわかった上で『おまえは悪いやつだからな』って楽しんでくれるので、私自身も助かりますよ」(指原)。

福田監督も「僕自身、芸人さんでも、役者さんでも面白い人が大好きなんですね。さっしーも『この人、面白い』『ずっと一緒にいたい』と思える存在。そもそも毎回、仕事を一緒にするたび、なんでおれは二十歳そこらの女に、こんなにケタケタ笑わされているんだろうって(笑)。冷静に考えると、この状況はワケわかんないですよ!」と全幅の信頼を寄せる。「いやあ、これほどうれしい言葉はないですねえ」(指原)。

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山田孝之が主演した深夜ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズをはじめ、「コドモ警察」「HK 変態仮面」「俺はまだ本気出してないだけ」など劇場公開映画でも次々とスマッシュヒットを飛ばす福田監督。「薔薇色のブー子」もまた、ユニークな登場人物や奇抜な設定、“ゆるい”空気感など福田監督らしさが盛りだくさんの仕上がりだが、監督自身は「ここ最近のやり方を、今回すべて取っ払って、誰もが楽しめる作品にしたかった」と差別化を強く意識したという。

「例えば、山田くんや(変態仮面を演じた)鈴木亮平くんみたいに、『めっちゃシリアス風に格好つけて、実はくだらないことをやっている』という演出の場合、大げさなツッコミがないと成立しないんですよね。でも『ブー子』はそういうのなし! 難しいことはやめて、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで見たらすぐ笑える作品にしたかった」(福田監督)。

もうひとつ、「薔薇色のブー子」で目指したのは、80年代に数多く生まれたアイドル映画の継承だ。「僕らが子どもの頃ってドラマ、映画問わず、本当にたくさんありましたよね」とうれしそうに語る福田監督から挙がったのは、南野陽子主演の映画「はいからさんが通る」、小泉今日子が主演したテレビドラマ「あんみつ姫」、東宝映画が製作した「たのきんスーパーヒットシリーズ」などなど……。「純粋に明るくて楽しいプログラムピクチャーをやってみたくて。今、テレビって刑事ドラマと医療ドラマしかやらないし、今回はお客さんにちょっとお金を払っていただき、劇場に足を運んでもらおうと」(福田監督)。

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そこで必要になるのが、現役アイドルの頂点。つまりAKBグループのトップに立つ指原の存在であることは言うまでもない。福田監督も「実際、女優さんには到底できない演技をさっしーが存分に見せてくれた。本当に久しぶりに、正統派のアイドル映画が完成した」と誇らしげだ。

当の指原は「映画ですか? 興味は……、ないんですよ。楽しいことは楽しんですけど、周りに真剣に女優を目指している人もたくさんいるので恐れ多い。できれば、これを遺作にしたい」と女優業には消極的。「映画やミュージックビデオで自分の演技を見ても、もう笑っちゃって。もはや下手というより、意味わかんない! やっぱり、向いてないんですよ」と後ろ向きな姿勢を崩さない。

「女優になりたい人が、向いているとは限らないし。主役じゃなければ、いいんじゃない?」(福田監督)、「主役じゃないのに朝早いとか、それはそれでイヤですよ。別に女優として経験積みたいわけじゃないですから」(指原)、「もう、面倒くさいなあ!」(福田監督)、「でも、秋元さん(総合プロデューサーの秋元康氏)がやれと言えば、やるしかないので。私には断る権利がないんですよ。これは絶対、記事に書いてください!」(指原)。

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