劇場公開日 2015年2月14日

  • 予告編を見る

「もんしろ蝶を見ると、きっと毎回思い出す。」リトル・フォレスト 冬・春 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5もんしろ蝶を見ると、きっと毎回思い出す。

2022年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

幸せ

寝られる

たんたんとした前作『夏秋』を踏襲。
今作は地元の方々の出演が多いかな。
相変わらず、自然の豊かさ、恵みが美しく描き出され、地味豊かな料理にそそられる。
閉校した学校や村が主催した説明会・寄合も出てきて、さりげなく過疎化した村の様子も描き、日本の地方・原風景と言いたくなる世界を描いている。

けれど、神楽のシーンですべてが絵空事になる。
いち子のふっきれた姿とも見て取れるが。
いち子演じる橋本さんの所作が洗練されすぎているのだ。
とてもじゃないが、地域の人々の年に一回の発表会に見えない(しかも最近復活したばかりの設定)。
神楽が好きで練習を重ねたという設定であったにしろ。
地に足ついた土着のというより、天女の舞。
プロとしての舞であって、素人の舞ではない。
 (「フォトギャラリー」の橋本さんも、雪女かマリア像かと見まがう美しさ)
 (『夏冬』編の時の、鴨を裁く時の一生懸命さ・ぎこちなさとの対比)
 (協力してくれた地元の方の前で踊るから、わざとぎこちなくは踊れないのだろうが)

同じく、三浦氏、松岡さんも彼らだけを観ると好演しているが、地元の人に混ざると、やはり都会から地域に訪問に来ている感が半端ない。
キッコの祖母・祖父が地域になじんで、現地雇用かと思ってしまうのとの対比。
若手3人は方言のイントネーションではないし。
 (岩手出身の女優・北上さんの発音と比べたらかわいそうかもしれないけれど)

それでも、相変わらず自然は美しいし、料理はそそられるし。
気持ちは洗われていく。

映画としてはどうかと思うが、イージーリスニングならぬイージーウォッチングな映画。

★ ★ ★ ★ ★
それにしても、キッコの祖母は声だけ聴いていると、『トトロ』の北林谷栄さんに聞こえるなぁ。

とみいじょん