劇場公開日 2015年11月28日

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「緑と赤の惨劇」グリーン・インフェルノ 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緑と赤の惨劇

2023年8月17日
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じっとり湿った深緑のジャングルに住む全身赤塗りの未開部族。その相反する色彩がこれから大学生たちを襲う悲劇を強く予感させる。物語は意外にも奇形的な変容を遂げたりせずに辺境モンスターパニックの常道を進んでいくが、その愚直さが本作の場合はうまく機能していたように思う。『キャビン・フィーバー』のイーライ・ロスが監督だから初めから割と警戒してたってのもあるけど…

このある意味でフツーな物語が求心力を失わないのは細部の描写の面白さゆえだ。たとえば未開部族に大麻を嗅がせるくだり。大学生たちは未開部族に人食いの風習があることを逆手に取って仲間の死体に大麻を突っ込むというファインプレーを講じる。村中が大麻でフラッフラになるまでの一連の描写には思わず笑ってしまった。その他にも大学生たちのしょうもない対立や威厳のありすぎる虎との睨み合いなど見どころが多い。メインであるゴア描写以外の部分でもしっかり戦おうという気概が垣間見えるところが素晴らしい。

物語のトーンとしては、クズムーブ全開のアレハンドロに受け手のカルマを集中させているように思えるが、実のところ我々が最も凄惨な死を望んでいたのは国連勤めのパパをお持ちの主人公のジャスティンではないか。金持ち、皮肉屋、大学生、女。殺戮劇の供物としてはこのうえない。

しかしイーライ・ロスはそこまで読み切ったうえで彼女を生かす。あまつさえあれほど酷い目に遭いながらも強い倫理意識を持ち続ける聖人に生まれ変わる。一方であれだけ人でなしのクズとして描かれたアレハンドロは密林の奥地で生き延び続ける。人倫を顧みない彼が人倫から遠く隔たれた場所で命脈を保つことができるというのはある意味当然の結末といえるだろう。

悪趣味な映画は多々あれど、露悪の矛先がきちんと受け手のほうにまで向いているものは少ない。そのあたりちゃんと意識してやっているところに好感が持てた。

因果