劇場公開日 2014年5月30日

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「コーエン兄弟の匂いしかしない」インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 ジンジャー・ベイカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0コーエン兄弟の匂いしかしない

2018年3月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

コーエン兄弟の作品は本作が5作品目。彼らの真骨頂が垣間見えた作品であった。
ストーリーは主人公の一人の売れないフォークシンガーの1週間を描いたもので、紆余曲折も甚だしい。主人公のみに焦点を当て、彼の人間関係やミュージシャンとしての一面を追っていくのでストーリーは比較的わかりやすい。個人的にはラストへの持ってき方が好みで、もう一度観たくなってしまった。主人公は確かにクズなんだけど、アーティストのリアルってものが伝わってくる。
キャストは演技が全員良かったように思える。特に主人公を演じたオスカー・アイザックは叙情的な歌い方がかなり良かったし、シリアスな雰囲気を上手く醸し出していた。彼が歌っていた曲自体も心に染みるようで好みだった。
演出は申し分がなくて、カメラワークだったり、セリフだったり、コーエン兄弟特有のシニカルな感じを楽しめる。彼らの作品を見る度、英語がわかればなぁと常々思う。
作品の雰囲気全体が鬱屈してて、トーンも暗いから重々しいんだけど、リアリティがあって、鑑賞者の心に寄り添うような映画である。好き嫌いは分かれそうだけどコーエン兄弟の他の作品が好きになった人なら楽しめるはず。

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ジンジャー・ベイカー