劇場公開日 2013年12月20日

「命の枠組から外れた者たちの終わらない夜宴」オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0命の枠組から外れた者たちの終わらない夜宴

2014年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

寝られる

萌える

正真正銘の、ジャームッシュ作品ですね。
笑いスレスレ、下手したらギャグに転びかねない展開を危ういままに、しかしきちんとシリアスに描く手腕はまさしく彼の特徴です。
絵空事というか、世間一般で認知されている吸血鬼の設定を、殆どアレンジ挟まずに臆面もなく堂々と現代21世紀の舞台に落とし込むなんて、或る意味ではリスキーな世界観の提示というかね。でもそれこそが、紛れもなくジャームッシュの作品なんですよ。だから良いんです。さっきから彼の作品だって主張を連呼してますけども。

しかし、ジャームッシュのヴァンパイアは、それでも余所とは一味も二味も違うんですね。
哲学、思考のループに絡め取られながら生きているというか。
命の枠組、輪廻から外れた彼らは人間=ゾンビを蔑み、回転するレコード盤に自身をなぞらえ、死んだままに永遠の命を彷徨う。その矛盾。

永遠の人生、それは幸せなのか不幸なのか。そんな一辺倒な幸福論は最後まで登場しない。所詮アンダーグラウンドに生きる者は、飽くまでアンダーグラウンドなる生き方に囲われる。

面白い物語体験でした。

ロロ・トマシ