フォックスキャッチャーのレビュー・感想・評価
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男ハァハァ サスペンス
デュポン財閥のボンボンがレスリングの元代表選手を殺害したという事件の映画化。
スティーブ・カレルが自身の力で獲得してこなかったボンボンの持つ歪んだ愛憎を見事に怪演!
息つまるサスペンスなのだが、もう少しコンパクトでもよかったかな〜
ジワジワ分かる人間像
いい兄弟関係の中にフッと湧いたスポンサー話。
だんだん追い詰められていくマークを見てると、かなり辛いものがありました。
デュポンの人間像がだんだんと分かっていくにつれ 展開がオモシロく怖く感じました。
スティーブ・カレルって分かってみても、分からないくらい怪演です!
圧倒的描写、圧倒的演技、圧倒的切なさ
鑑賞後、しばらく立ち上がれねくなるほどの圧倒的筆力。積み重ねあげられる伏線、静かに、だが確実に、丁寧すぎるほど丁寧に、積み上げられていくデュポンの静かな絶望。決して超えることはできない存在へのどうしようもない憧憬と背反する憎悪。兄が放つ光が眩しすぎる弟。全てを手に入れながら何一つ手に入れていない裸の王様。認められたい。何かを成し遂げた証が欲しい。焦りばかりが募っていく。なぜ、俺には誰もいないのか。絶望が折重なり、臨界点を迎えた時、文字通りトリガーが引かれる。緻密な描写を重ねた先に得られる圧倒的なリアリティ。超人としての、父親としての兄を殺したのは他でもない自分の分身だった。俺があいつで、あいつが俺で。
目が疲れた
静かで、淡々と話が進むので眠気との戦い。そしてまた淡々としたデュポンさんが怖い、気持ち悪い。のは、スティーブ・カレルが凄いんでしょうかね。マークが世界選手権で優勝するまではいい話だった。金メダルとったのにあの境遇では、浮かばれないよ。ALSOKありがとう。
はじまりのうた見てからのこれだったので、マーク・ラファロの振り幅も凄かった。
弟からの嫉妬心みたいなのは理解できたんだけども、結局なんで、殺人に至ったのかはイマイチしっくりこない。
演出家のチカラがすべて。
この事件は聞いたことあるけど、
映画にするほどびっくりする話ではない。
世界有数のボンボンが、
オリンピックに関わりたくて
好き放題しただけのこと。
けど観客へのサービスをぐっと抑えて、
話の流れをたんたんと描く
凛とした演出はさすが。
それだけで、
見事に実話の深みを積み上げていく。
監督に応えた役者たちも、
素晴らしかった。
だけど、この実話に興味がない人には長いかも。
隣のカップルも、少しシラケぎみ。
マッスルな身体を楽しみたい人は、
いいけどねw
話はフツウでも
演出家のチカラで見応えがでてくる。
そんな見本みたいな映画でした。
裸の王様
金で買うことの出来るものなら手に入らないものは何一つない。アメリカの財閥の御曹司ジョン・デュポン。彼が欲しがったのは金では買うことの出来ない名誉、敬意というものだった。
経済力を使ってレスリングチームの「コーチ」の座を手に入れるのだが、しょせんは金にものを言わせたパトロン。
映画はデュポンの虚栄心や孤独、そしてデュポン家の人間にふさわしい名誉をなんとか獲得しなければならないという焦燥感を丹念に描いている。そしてそのような人間の怖さを知るマークと、そのような人間に全く善意の無頓着さを表すデイブの対比も鮮やかに映し出す。
主演のスティーブ・カレルが、コメディ俳優出身とは思えない陰鬱な人間像を演じている。座面に背中を接するほど深くソファに沈み、常に遠く見つめるようなくすんだ瞳。カメラは執拗に彼を正面からとらえる。まるで尊大な人物が自らの意志でカメラを自分のほうへ向けようとするように。
マークを演じるチャニング・テイタムには、あえて顔に陰翳が生じるような角度からの撮影が多くデュポンと兄デイブの間で揺れていることを観客に感じさせる。
そして、デイブは努力と才能によって成功を収めた人間に特有の無頓着さを表している。マークとは対照的に、マーク・ラファロの髭面は何の陰もなく撮影されている。その瞳は明るいが思慮に乏しく単純で明快なものである。
デュポン本人も周囲も、デュポンがそのチームのリーダーで若い選手たちの敬意を集めているという演出に勤しむ。しかしそんな彼の名誉欲はレスリング選手たちには理解されない。なぜなら、彼ら選手が名誉に浴するのは、試合に勝利した時であり、手に入れることは困難ではあるがその名誉の理由が単純明快だからだ。
結局、最後までデュポンは選手たちからの敬意を得ることはない。
彼のその欲望を理解できなかった者は、裸の王様が裸であることを、王様自身に痛切に思い知らせていることに無自覚だ。その無自覚がときに悲劇を招くことになるのだが。
ゾッとした
何の情報も入れずに見に行ったら、スポーツドキュメント的な映画みたいな内容なのに、サスペンス調も重々しいトーンで、何の映画か本当に分からなかった。物語のポイントも示されないままで、それが次第にマークはコミュ障で、デュポンは悲しい空っぽの子供おじさんという輪郭が見えて来てから、なんていうか結末のとんでもない展開まで、悲しくて切ない恐ろしい映画だった。
デュポンは童貞じゃないかと思った。お母さん以外唯一触れる女性が、デイヴの奥さんで滅茶苦茶愛想が悪い。金で全てを手に入れようとするけど何も手に入らない、特にソウル五輪でマークをタオルで扇ぐ様子が悲しすぎる。お金で一応あそこにいられる事がすごい。
デュポンがなぜデイヴを殺したのか、露骨に自分を嫌悪するマークの方が殺されそうなものなのだが、実際彼を苛んでいたのはデイヴだったのだろう。メダリストであるというだけでなく人柄がよくて、家族を愛している、メダリスト以外の普通の部分こそがデュポンにとって最も欲しくて一生手に入れられないもので、自分に対しても敬意を払って普通に接してくれるところに耐えられなかったのだろう。
デュポンが岡田斗司夫さんに見えてしかたがなかった。岡田さんを苦しめるのは罵声や嘲笑ではなく、普通に成熟した人の普通の幸福なのかもしれない。
フェイム
金と名声はあるが心は‥という題材は使い古されたものだけど、この作品は不穏かつ重い雰囲気で描かれていてBGMの無い絵作りと少ないセリフという構成なのが良かったと思う。実話に基づきながらほとんど何も語られていないので「意味がわからない」と言われたらそれまで。少し考えればテーマは見出せるとは思うけれど。
3人の演技を引き出したのも上手い。ベネット・ミラーは信用できるなと思う。
"FAME"を使ったのは『プリティウーマン』との関連性を匂わせていたのだろう。つまりはそういうこと。こっちは悲劇だけども。
チャニングは今まで注目してなかったが今後期待できるかなと思った。顔が綺麗すぎて逆に苦労するパターンかもだけどこれを演れるんだから。スティーブは以前から知っていたしこれくらいはやるだろうと。ヘリの中でコカインやりながらスピーチの練習をするところとか祝勝会での悪ふざけとかは彼らしいなと。元より彼の笑いは怖さをたたえている。一番の驚きはマークで、体づくりや髪を抜くこだわりで別人になっていた。技巧派のレスリング選手という設定を納得させる佇まいだった。
しかし男一人で観ると勘違いされそうな作品ではある。かといってカップルで観るのも違うよな。
想像力を刺激される傑作
冒頭、C・テイタム演じるマークの現状を、説明台詞なしで淡々と描写するシークエンスで既に傑作の予感がビンビン。『マジック・マイク』では何も思わなかった彼の伏し目がちで精神的に脆そうな佇まいに一瞬で心奪われる。デカい図体に似合わない繊細な演技に脱帽した。長いカットで描かれる兄弟の組手?に代表されるレスリングシーンも緊張感に満ち満ちている。
S・カレルが怪演する御曹司の何を考えてるのかわからない不気味さは夢に出るレベル。M・ラファロの太陽のような優等生感も、その陰である弟の闇とのコントラストを為している。アカデミー助演男優賞取って欲しいなあ。
そして、コピーにもある「御曹司がメダリストを殺す」理由を散りばめられた諸々のシーンから推察する楽しさが尋常じゃない。観た後も評価が上がり続けるタイプの作品。これが実話という恐ろしさ…。
高みを目指し、結局誰一人として幸せになれず
どこまでが実話なのか、どこからがフィクションなのか。はたまたもしかしたら、どの役者かは本人なんじゃないか。そんなリアルが潜む。
効果音で緊迫感を煽るような野暮もせず、ひたすら人間の表情や行動を追いかけるような進行。御曹司の狂気、マークの混乱、デイブの理性、それらがじわりじわりと膨張してラストで弾けてしまう。
実話だと知っていながら、あえて予備知識を入れずに観ていただけに、その御曹司のした仕打ちに愕然とした。
そして、マークのその後を知らせるクレジットをながめ、栄光と引き換えに失ってしまったものの多い彼の人生を思いながら、涙した。
滲み出る不穏感に惹き付けられる作品。
暗く地味な画面が淡々と。
刺激が無く退屈な時間となると思いきや。
滲み出る不穏感/狂気が徐々に色濃くなり。
惹き付けられる緊張感がありました。
話の軸となるマークとジョンの関係性。
そして兄デイヴ参入後の関係性。
各々が持つ“主/従”の傾向が不協和音を生む。
“従”であるマークを中心に“主”と“主”が対峙した際。
小さな摩擦が積み重なり保たれた均衡が大きく崩れる。
その関係性の変化、摩擦が生まれるまでの過程が丁寧に描かれており好感を持ちました。
また滲み出る不穏感を体現した役者陣も良かった。
深い闇を抱え闇を覗く者すら呑み込む怪物ジョンを。
コメディ印象の強いスティーブ・カレルが好演していました。
マーク演じるチャニング・テイタム、デイヴ演じるマーク・ラファロも良かったです。
滲み出る不穏感に惹き付けられる本作。
終盤の風呂敷の畳み方も簡潔で好印象。
決して派手な作品でないですが余韻も含めて静かに楽しめる作品だと思います。
オススメです。
マザコン
02/14公開の当該作品は、デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンが起こした
殺人事件を映画化したものです。
カンヌ国際映画祭・監督賞受賞、
ゴールデン・グローブ賞・3部門ノミネート、
アガデミー賞・5部門ノミネート
された話題作です。
そして、キャッチ・コピーは、
「なぜ大財閥の御曹司は、オリンピックの金メダリストを殺したのか?」
です。
大変期待していたのですが、まあまあの作品でした。
私も、マザコンでして、母親に褒められ認められる事が、
勉学の原動力でした。
しかしながら、主人公は、母親の最期まで、認められなかった為、
母親の死後は、どんな事をしても、National Teamの
レスリング・コーチとして、世間の人々から、尊敬され愛され
認められたかったのでは。。。
PS:
兄弟ものは、なぜ、兄はリッパで、弟はダメなのでしょうか?
4人兄弟の末っ子の私は、いつも疑問に思います。。。
Michi
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を観たら、こっちも観てね
まず、配給会社に拍手。
この映画、ごく一部の人間には今年度最大の話題作である「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」と同時期に公開だなんて、よくやったものだ。
アメリカ3大財閥のデュポン家の御曹司、ジョン・デュポンの事件を得映画化。ネタは割れているが、ネタを知らずに鑑賞。
その前に「フィフティ・」を観ていたのだが、とにかく、よく似ている。
チャニング・テイタムの金メダリスト・レスラーは3年前に金メダルをとっても、クソガキ相手の20ドルの講演で、車の中でジャンクフードを食べるなど、不遇の生活を送っている。
アメリカではレスリングは伝統ある競技だが、オリンピックにおける金メダルの地位は、優遇されているとは言えない。それでもこつこつと次の大会へと準備をしている。最初の30分は音楽が流れず、ただただ、テイタムをカメラは舐め回す。
この映画、とにかく、静かに、黙々と、ねっちょりと、テイタムとその兄ラファロとのまぐ、じゃなかった、レッスルを描く。
この二人のカラダがスゴイ。テイタムは脱ぐ映画が多いだが、今回は頭が悪い(いつもか)筋肉バカの説得力がすごい。そして、ラファロもコーチ体型がすごい。CGじゃないのか、と思うほど。
そしてこの二人に熱視線を送るのが、カレル演じるデュポン。このデュポンが、まずテイタムに近づくのだが、静かな展開と、カレルの言葉少なな、ねっとりしたしゃべり方のせいで、いつ鞭を繰り出すのか、どきどきして1時間は緊張しっぱなしである。
このデュポン。アメリカでは当然有名人なので、この人物については、ある程度、知っている前提で描かれるので、日本人にとっては、よりミステリアスに見える。たまーにおかしな行動をするが、演出は極めて静かな狂気、として描く。この男、財をはたいて、レスリング練習場をつくり、テイタムを囲うのだ。
テイタムとのヘリでの、早口言葉の言葉攻めが楽しい。この言葉攻め、結局本番は描かれない。
途中の優勝祝賀会には、ボウイの「FAME」。
・・・・狙い過ぎである。
対するラファロも負けじと、テイタムとその後も絡む、絡む。テイタムは、カレルがラファロのことが好きすぎるために、ジェラシー込々でやけ食いしたりと、もうヤリ放題。
おまけに汚物プレイのおまけつきである。
見せ場のオンパレードの2時間強。面白い
追記
皆さんにはどうでもいいことだが、オレにその気はない。悪しからず。
財力以外に孤独を埋める術を知らない男の暴発
観終わって、これが実話であることに今も驚いている。ジョン デュポンは、大富豪の元に生まれ、金で全てを解決しようとするが、財では手に入られないものを見せつ けられた男。それは 純粋な兄弟愛。母の捻れた愛(偏愛)で育ち、何かが 欠落してしまい、結局孤独であり自分の世界から抜け出せないでいる男デュポン を、スティーヴ・カレルが上手く演じていた。
思いのほか退屈でした
今年度のアカデミー賞で、主演男優賞と助演男優賞など5部門にノミネートされていますが、ただ作品としてはどうでしょう? 一言で言えば退屈な作品でしたね。
異常な結末に向かってどんどん緊張感が高まっていくわけでもなく、淡々と話が続きます。もっとジョン・デュポンの異常さを描かないと、最後の結末に説得力が出てこない。ジョン・デュポンの心の奥底にもっと入り込む必要があったと思いますね。
主演男優賞にノミネートされているスティーブ・カレルの演技なかなか抑制が効いてよかっただけに残念です。
たんたんと精神崩壊。
マザコン、ファザコン、三角関係ともう精神崩壊まっしぐら。
長い年月のあちこちで予見されたと思うけど誰も止められなかったのかしら。
音楽も極力排除してどっしり描かれてます。
チャニングがスポーツ小僧から悩める青年としっかり演じていたのが驚き。
ガチガチで息がつけないキツイ作品だが、物凄く面白い
なごみ、癒しのの要素ゼロ。ガチガチで息がつけないキツイ作品だが、物凄く面白い。ストーリーは実話に基づいているそうだ。いつでもどんな国でも、狂ったボンボンほど始末におえないヤツはいない。
ストーリーはシンプルで分かり易い。セリフよりも映像シーンで状況や心理を展開して行くが、流れや意図が掴めず戸惑ったりする作品ではない。試写会のオープニングトークで、静寂の中を映像で物語を語る手法について紹介していたが、確かにそういうシーンが印象的だった。
主人公は桁外れの大金持ちでマザコンのボンボン。愛国者気取りで、思い込みが強く、アメリカを象徴するような強いリーダーの強迫観念に取り憑かれている。
金と巨大な権力を使い、果たせなかった若い頃の夢の代償を追及するが、所詮はボンボンの壮大な我儘なので結実しない。強烈に憧れるリーダー像と、現実のショボい自分の姿のギャップに耐えかねて破滅へと向かう。
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