フォックスキャッチャーのレビュー・感想・評価
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上の子・下の子・一人っ子…
上の子、下の子、一人っ子…それぞれの苦悩を、実在の事件を下敷きにして、見事に描き出した一本。
答えの無い悲劇とも言える事件を通して。
派手さは無いながら、とにかく丁寧な演出で淡々と語られる上の息苦しい責任感、下の過剰なコンプレックス、そして一人っ子の異常な自己認証欲。
人間という生き物の本質を抉る、全篇を通して目が離せない息苦しさ。
それを表現し切ったのは、やはり俳優陣の演技の見事さに尽きるのではなかろうか。
最近、小便臭い小娘が「頑張った」と言われる映画に素直な感想をぶつけたら「あなたは俳優したことがあるんですか?!」とすごい勢いの入れ食いがあった。
そりゃしたことないけど、この作品の役者の怪物っぷりは分かるよ…
40歳の童貞男に収まりきらないスティーヴ・カレルの不穏ップリ!
そして尚更にマーク・ラファロのカメレオンップリ!
ついこないだ出演作二回も観たのに…
「このお兄ちゃん役、誰か分からん凄い役者!」ってなったからな…
まぁ、チャニングは近頃の「いつも通り」だったけど…苦笑
派手さは無い分、胸にモヤモヤと留まる思いを堪能する作品。
良作!!
「底なしの心の闇をみた」とか「深いトラウマに囚われて」とかの表現...
「底なしの心の闇をみた」とか「深いトラウマに囚われて」とかの表現がありますが、ぶっちゃけて言えば「えらくめんどくさい人」ってことですよね。
めんどくさい人が、屈託のない人を勝手に妬んで起こした悲劇を描いた映画です。誰でも(本当か?)めんどくさい自意識に悩まされる時期はあるもんですけど、何もかもが自由になる環境がそこから抜け出るチャンスを失わせたのかもですね。彼にあんまり同情できないのは自分がイノセンスを失った証左でしょうかw
悪くないけどそれほどではないかな。
結論:チームのスエットシャツがほしい!
金メダリストの現実
1人車内で安いハンバーガーを貪るシーンは本当に胸が痛くなる…
スティーブ・カレル演じるジョン・デュポンに話題がいきがちですが、マーク役のチャニング・テイタムの肉体美もさることながら、格闘系アスリートの不器用さや悲愴感は必見だと個人的には思っています。
ほぼ男しか出てこない愛憎劇
承認欲求とか支配欲とかいろいろこじらせてて、時々いる微妙にちょっとこの人ヤバいかもが段々ひどくなっていって、、、共感はできないけど理解はできるので、あぁって気持ちになる。展開もうまいし映像も良いです
物語、登場人物、役者については割愛。 優れた人間がいることでその周...
物語、登場人物、役者については割愛。
優れた人間がいることでその周りの人間が感じる劣等感みたいなのものを、誰のせいにしたらいいのかなーとか考えさせられる作品でした。
わくわくするような話でもなければ、驚く展開もないけど、観終わった後のモヤモヤした感じも含めて良い作品だと思います。
ダメ人間の哀歌
昔、伊集院光の深夜ラジオのコーナーにダメ人間というのがあって、例えるなら。
「婆ちゃんの財布から金を抜き取り、母にプレゼント……ダメ人間だもの」
という調子で自分のダメ人間ぶりを笑いで認め、癒しを得るコーナーだった。この映画でも二人のダメ人間が出てくる。一人はマーク。もう一人はデュポン。もっとも最初の方では二人とも(もしかしたらとは感じてはいるが)自分はダメ人間だとは思ってはいない。
マークは兄を超えたいと思い。
デュポンは母に認められたいと思う。
頑張ればそれが叶うと信じていた。
しかし二人の強い思いは挫折する。
マークは兄を超えられず。
デュポンは母に認められなかった。
結局はすべてはムダになった。そしてそこから二人の運命は変わってくる。マークは自分がダメ人間だと認めリタイヤして興行格闘技に身を落とすことができたが、デュポンにはそれができない。彼は大富豪だからだ。
富と名声をもちながら自分にはそれに相応しい“中身”がまったく無い。
デュポンは最後のドキュメンタリーを観てそれに気づく。そこには自分と同じであるマークが映っている。
だからこそ殺さねばならなかった。人望もあり実力もある“中身”がある人間をだ。そうする事でしか認められなかったのだ。殺された人間には不幸としかいいようがないが、仕方が無い。
だってダメ人間だもの。
作品の思う壺…⁉︎
映画(丁度,映画を観るならココ!と,お気に入りの映画館で上映していたが為)&マーク・ラファロの目的で観に行ったが… スティーブ・カレルの憎まれ役さ加減に腹立ったりしたのは、彼自身の演技力の凄さ❗️で,作品側の思う壺だったのかもしれない…レスリング云々は全く知らないが、映画作品としてはどうよ⁉︎なんて疑問を投げ掛けたい!所・・・
不幸な出会いの結末
常に何か良くないことが起きそうな不穏な空気、緊張感のある演出がイイ!
レスリングの動きのそれっぽさ、大富豪のパッと見でわかる心がない感じ、弟のデクのぼう感など、主役の役者も素晴らしかった。特に序盤のトレーニングシーンは、セリフも説明もないが、兄弟の関係やその後の展開の暗示を、演技だけで伝える凄いシーンだった。
表面的な望みは全てお金で解決できてしまうだけに、金持ちの虚しさはより深まり、貧しい者は、その危うさに薄々気付きながらも目をつぶらざるを得ない。狂った金持ちほどタチが悪い。
社会の格差が広がる現代でも、似たようなことが起きているのかもしれない。
怖いですね。スティーブカレルの異常感がムンムンとしてます。大富豪の...
怖いですね。スティーブカレルの異常感がムンムンとしてます。大富豪の御曹司で歪んだ愛情しか知らない怪物感。ゾッとする。コメディアンとは思えない。
実際の射殺事件をもとにしてるんですが、最近は実際の人物、事件をもとにする作品が多いんですかね。たしかに面白いんですが
シクシクと憎しみが膨れていき最後はパーンと弾けるんですが、その弾けっぷりが真っ直ぐですごく怖い。
チャニングテイタムの自傷シーンは迫力あります。伊達にマッチョじゃない。鼻息荒い。
レスリングのシーンも拘ってると言うか、凄くリアリティある風景ですが、あんまり欲しいシーンじゃないと言うか。
まあ、マークラファロが一番好きですね。いい男だ。
ダメなやつはどこまで行ってもダメなやつ。金を持ってても変われない。...
ダメなやつはどこまで行ってもダメなやつ。金を持ってても変われない。
そんなデュポンをただ一人の理解者とせざるを得なかったマーク。
ダメな二人にまともなデイブが加わることで決定的に関係性が崩れて行くんですね…
爽快感はないが、役者陣の演技が凄い…
登場人物の感情が驚くほど伝わってこない。 なぜ殺したのか、なぜ憎い...
登場人物の感情が驚くほど伝わってこない。
なぜ殺したのか、なぜ憎いのか。
現実の事件を映画化しているようだが、フィクション感が強い。
童貞男
常に緊張感漂う素晴らしい演出と演技に引き込まれてしまった。
チャニング・テイタムは本物の選手かのような体つきで、ここら辺が日本の格闘技を扱う映画との大きな差を感じてしまった。
事件の経緯を予習して見れば上質な伝記映画、まったくの無知で見ても衝撃的な映画としてそれぞれ楽しめると思う。
それにしてもシエナ・ミラーは最近やたら夫を事実に基づき殺されるな。
期待通りどんどん外堀を埋められていくにつれ、んもう胃からなんか出そ...
期待通りどんどん外堀を埋められていくにつれ、んもう胃からなんか出そうになる話なんだけど、真理に迫りきれないという結末が。実話だから仕方ないんだけどねぇ。でもスゴい作りですな。
異常であることを自覚し怯むことなくその王道を突き進む大富豪ジョン ...
異常であることを自覚し怯むことなくその王道を突き進む大富豪ジョン デュポン、この実在した人物を演じたS・カレルが宿した心静かに狂気を育む演技プランに誰も彼を愛さなかった背景が見えてくる。静かでありながら描くモノはいつ破裂してもおかしくない緊張の連鎖、爆弾処理を見ているかのような演出に満点という言葉しか見つからない。
狩って兜の緒を締めよ
実話が基の映画によくあるよう、描写が事実と異なる/異ならないで
海外では揉めているらしいが、取り敢えず映画の情報のみでレビュー。
雨に濡れて冷えた金属のようなこの手触り。静かだが、観続ける内に
冷や汗がじっとり滲んでくるような緊張感に満ちた作品だった。
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′84年L.A五輪金メダリスト、マーク・シュルツを演じたチャニング・テイタム。
彼の肉体と憮然とした表情はこの役にドンピシャ。
ひとり黙々と練習し、ぼろアパートの一室で黙々と飯を食う姿。
兄とのスパーリングが段々と熱を帯びていく様子。
偉大な兄の影から抜け出したい。兄の力を借りずとも
自分は強いのだと、世間に認めてもらいたい。
そんな彼の苛立ちが、セリフ無しでもひしひしと伝わる。
そんな彼に手を差し伸べる大富豪ジョン・デュポン。
演じるスティーヴ・カレルはさすがの主演男優賞ノミニー!
終止感じられる不穏で不安定な存在感。
拳銃を片手に練習場で立ち尽くす姿や、生気の失せた眼で
自身のドキュメンタリーをぼんやり眺める姿の不気味さ。
一方で、金で買われた試合に勝利して小躍りする姿や、
朝靄の中、野に放った馬たちを呆然と見つめる姿が憐れ。
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かたや兄の名声に隠れて世間から認められない男。
かたや厳格な母から『男』として認められない男。
そういえば二人とも、独立戦争の英雄ワシントンの
絵画を自宅に飾っていたことを思い出す。
独立戦争での弾薬供給で財を成したデュポン財閥。
ジョン・デュポンには『自分は祖国の勝利に貢献した
一族の男である』という誇りがあったのだろう。
だからこそ、『祖国に名声をもたらした英雄が、
置かれた境遇のために不当な扱いを受けている』
とマークに同情し、彼を選んだのだろう。
初め、2人が目指していたものは同じだった。
世界大会で優勝したマークとデュポンが固く抱き合ったあの時、
彼らを結び付けていたのは、互いへの敬意と感謝……
間違いなく友情と呼べるものだったと思う。
それなのに。
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名声を得た後こそ人は謙虚であり続けるべきである事を、
デュポンは学んでこれなかったのだろう。いや、そもそも
あんな母親の下では学ぶ術も無かったのだろうか?
国際大会での優勝が彼の財力無しにはあり得なかったのは
確かだが、彼はスポンサー以上の立場を求めてしまった。
自分は優秀な“狩人”であり、人生における指標となるべき
『男』なのだという誇大妄想にも似た想い。
きっとそれは母への当て付けだったのだろう。
自分はこんなにも強く、こんなにも人に慕われている。
それを認めないあなたの方が間違っているのだ、という、
そんな主張。
その奥底にあったのはきっと『母に認められたい』という願いだ。
だがそれは母の死と、マークの兄デイヴによって打ち砕かれた。
デュポンでは、どん底のマークを再起させられなかったから。
マークはデュポンではなく、デイヴに依存したから。
デイヴはただ愛する弟を救いたい一心だっただけだが、
デュポンからすれば彼はデイヴに真っ向から否定されたのだ。
自分が世間、そして母に認められるべき人格者であることを。
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彼の犯行動機は逆恨み以外の何でもない。身勝手極まりない。
マークを慢心させたのも、マークを先に裏切ったのも、デュポンの方だ。
テロップで示されるあの惨めな最期は因果応報だと思う。
だけど、それでも彼を哀れに思ってしまう。
世界大会でマークが優勝した後の、酔っ払ったデュポン。
金で買われた友人しか知らなかった彼は……
仲間から誉めてもらえることが素直に嬉しかったんだと思う。
“ビッグ・D”だなんて渾名で呼んでもらえることが
心底嬉しかったんだと思う。
それだけで王様のような気分になって、自分が英雄
であるかのように思い込んでしまったのだとしたら……
なんとも子供じみていて、やりきれない。
<2015.02.22鑑賞>
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余談:
シエナ・ミラーが兄デイヴの奥さん役で、
『アメリカン・スナイパー』に引き続きの内助の功。
……アカデミー作品賞ノミネート作品に2作も出演だと……!?
どちらの作品でも物語の邪魔をしない堅実な演技でした。
そういやチャニング・テイタムは『G.I.ジョー』で恋人役
だったよね。まさかこんなシリアスな映画で再共演とは。
もう2人ともあんなコミックキャラとはSAYONARAロボコップ。
……と思ったら次作『ジュピター』で耳トンガリ宇宙人を演じるテイタム……。
うん、まあ、なんだ、頑張れテイタム。
分かりにくいが、極めて深い人間模様。超社会派ムービー。
【賛否両論チェック】
賛:次第に壊れていく人間関係と、それでも自分の信じる道を歩もうとする主人公達の姿に、深く考えさせられる。レスリングの知識がなくても理解出来る。
否:登場人物に感情移入はしにくい内容。BGMも少なく、自分で考えなければいけないような描写も多いので、興味がないと眠くなりそう。
始めは選手のために情熱と愛情を注いでいたジョンが、次第に自らの支配欲や顕示欲に固執していく様子や、そんなジョンに翻弄されながらも、“世界一”という夢を追い続けるしかなかったマーク、そして彼を本当の意味で最後まで愛し続けたデイヴと、三者三様の人間模様が重厚に描かれています。悪戯なBGMもほとんどないので、登場人物達の感情描写がより際立っています。
逆に言うと、それだけかなり静かで地味なお話なので、興味がないとかなり眠くなりそうでもあります(笑)。終わり方も不親切といえば不親切なので、
「結局・・・こういうことだったのかな?」
と、自分で補足して考える必要がありそうです。
関心が持てるかどうかが全ての、極めて社会派の作品です。
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