劇場公開日 2014年4月12日

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ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! : 映画評論・批評

2014年4月1日更新

2014年4月12日よりシネクイントほかにてロードショー

のどごし爽快に世界の終焉を描いた、奇想天外な娯楽作

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「イギリスと言えば?」そんな問いに酒飲み達は「PUB!」と答えるだろう。この国じゃパブは伝統であり文化だ。何にもない田舎町でもパブだけは無数にあって、店内には昼間からラガーやビターをグビグビやる人の姿も−−−。そんな何百年も変わらぬ日常に世界滅亡という変数を掛け合わせ、ここに奇想天外な娯楽作が誕生した!

事の発端は主人公ゲイリー・キング。アル中治療を抜け出した彼は、アーサー王と円卓の騎士よろしく、仲間を率いて故郷へ舞い戻り「1晩で12軒のパブをハシゴ」というミッションに挑もうとする。だが懐かしの当地はどこか様子が違う。変わったのは故郷? それとも俺たちの方なのか?

真相は中盤の急展開で明らかとなる。突如襲い来る住民たち。着々と進行する地球侵略計画。そこには「遊星からの物体X」や「光る眼」を始めSFオマージュが盛りだくさん。ミクスチャーから新味を引き出すのはエドガー・ライト監督の得意技だが、今回はさらにアラフォーの登場人物ならではの「自由への渇望」「こんなはずじゃなかった現状」といったビターな叫びにも寄り添いながら、ストーリーは加速する。

それでも湿っぽくならならないのが本作の魅力。セリフの応酬は終始爽快にハジけ、何よりもジャンル映画への底知れぬ愛と、仲間への厚い友情に満ちている。その只中をゲイリー・キングがゆく。自らの聖杯伝説に終止符を打つために、追っ手を振り払い、傷だらけになりながら。

そんながむしゃらな勇姿にふとライト監督、盟友サイモン・ペッグニック・フロストのチームワークが重なった。たとえ今地球が終わろうとも、彼らはアーサー王、いやドン・キホーテのごとく、とことん我が道を突き進むに違いない。それでいい。このエンターテイナーとしての豪快さと覚悟が、本作の単純明快な楽しさをよりいっそう補強している。

牛津厚信

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