劇場公開日 1994年8月6日

「興奮と物足りなさと懐かしさと」ストリートファイターII 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5興奮と物足りなさと懐かしさと

2022年10月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

興奮

大人気ゲーム『ストリートファイターⅡ』をアニメ映画化した1994年の作品。
レンタル店で在庫は見つからず、声を担当した某元タレントの問題もあってか、今となっちゃあ視聴はなかなか困難。
そんな時こそ、配信。いつものU-NEXT。
見るのは当時以来。劇場で観たのかレンタルVHSで見たのか、覚えてないくらい。
28年ぶりのROUND2,Fight!

これまでにアニメーションの本作と、実写3本が映画化されている『ストⅡ』。
ヴァン・ダム主演や春麗を主人公にした残念な出来の実写版だが、やはりアニメーション。ゲームよりちとゴツいが、個性的なキャラたちがゲームのまんまの姿で登場。
これにはファンも納得。春麗と言ったらあのチャイナドレスだが、さすがに普段からあの服はちょっと浮いてる…。

初期の『ストⅡ』8人、四天王、『スパⅡ』から4人、計16キャラが全員登場。おや、ワンシーンだけだが豪鬼まで…!
格闘技ゲームの代表作なだけあってFightシーンはふんだんに。
主なFightは…
リュウvsサガット。
リュウvsフェイロン。
ケンvsサンダー・ホーク。
ダルシムvsエドモンド本田。
ザンギエフvsブランカ。
春麗vsバルログ。
ケンvsベガ。
リュウvsケン。
エドモンド本田vsバイソン。
ガイルvsベガ。
リュウvsベガ。
リュウ&ケンvsベガ。
ゲームで再現Fight出来そうなくらい。
各々の必殺技も炸裂。やはり波動拳や昇龍拳は興奮もの。
劇画タッチのキャラデザでアダルトな作風。
春麗には見事なバストも披露のセクシーなシャワーシーンあり。その直後のバルログ奇襲で服が破られボロボロにいたぶられ、Sっ気を掻き立てる。
春麗、ナイスサービス!

話は…
世界各地で犯罪組織“シャドルー”が暗躍。世界中のファイターたちを利用したテロを画策。
インターポールの春麗は米空軍のガイルに協力を要請。
“シャドルー”の総帥ベガは一人のファイターを追っていた。
そのファイター、リュウは世界放浪の修行。
ベガはリュウと同門のファイター、ケンの存在を知り、魔の手が迫る…。
共に同門で学び、ライバルで親友のリュウとケン。サガットはリュウに敗れた過去、シャドルーの暗殺者としてマインド・コントロールされたキャミィ、野望企てるベガ、ベガが仇である春麗とガイル…。
各々のキャラの設定を活かしたストーリー展開。
が、如何せんストーリーは平凡。台詞も陳腐。
キャラやFightありきなのは見てすぐ分かる。って言うか、見所はそこだけ…?
話ももっと練り作られていたら…。ファンには満足かもしれないが、プレイした事ない人には物足りないかも。
全キャラ登場だが、さすがに尺や展開の都合上全員に均等に見せ場は設けられず。スポットが当てられているのはリュウとケン、ガイル、春麗、ベガくらい。
ダルシム、ブランカ、ザンギエフなんてFightシーンのみ。ベガにリュウとの再戦を断られたサガットはその後…? 『スパⅡ』キャラに至ってはモブみたいなもの。
全キャラ登場させようとした余り、話に別に不必要なFightシーンも。
『ストⅡ』は人によって推しキャラや得意キャラがおり(ちなみに私はダルシムとエドモンド本田)、プレイする人によってそのキャラが“主人公”。
やりようによっては16のエピソードが作れる。100分程度の尺には収まり切れない。
泣く泣くキャラの魅力や話の広がりをカットし、数名のキャラに焦点を絞った構成は、巧みさは無いが苦労の及第点。

リアルなFightシーンは見応えあり。
ゲームで散々プレイした事あるFightや必殺技もアニメーション映画になると迫力マシ。
タレントや本職起用したキャラの声。リュウはちと拙いが、ケン役の“稀代のワル”は悪くない。『アラジン』もそうだけど、声優としてはいい仕事してるんだけどね…。
音楽は小室哲哉。
本作で最も有名なのは、篠原涼子の主題歌かもしれない。劇中とEDで2曲歌うが、やはり『恋しさとせつなさと心強さと』。
クライマックスのリュウ&ケンvsベガのシーンに流れ、興奮を盛り上げる。
作品は断片的にしか覚えてなかったけど、この曲はばっちり覚えてた。作品よりこの曲が、You Win!

本作はこの一本で終わり(シリーズ化も出来そうだが)、実写はことごとく失敗。
が、ゲームは今も続く。
自分はスーファミの『ストⅡ』から『ZEROⅡ』しかやってないが、ふとした時に急にまたやりたくなってくる。

己の中のFight魂は拳の先に何を見るのか。
オレより強いヤツに会いに行く!

近大