君死に給うことなかれ

劇場公開日:

解説

監督の丸山誠治が「かくて自由の鐘は鳴る」の西島大と共同で脚本を書き、「潮騒(1954)」と同じく仏文学者中村真一郎が台詞を担当し、丸山誠治が「伊津子とその母」に次いで監督した。撮影と音楽は「七人の侍」と同じく中井朝一と早坂文雄。主演は「水着の花嫁」の池部良、相手役にカヴァー・ガールの新人司葉子が抜擢され「雲は天才である」の若山セツ子「次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家」の英百合子、「七人の侍」の土屋嘉男、「恋愛特急」の志村喬等が助演する。

1954年製作/99分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年8月31日

ストーリー

戦争末期の東京で、亘は母が入院している病院の看護婦久美子を愛していた。亘の親友小島は出征に先立って、妹の礼子を貰ってくれと頼んだ。然し母を失った亘は久美子一人を思いつめた。礼子の事を知った久美子は淋しく故郷広島へ去ったが、亘は後を追って結婚の約束を結んだ。その直後に亘は召集され、敗戦の混乱のうちに五年の歳月が流れた。久美子は広島の保育園で働いていた。原爆を受けて生きる希望を失った彼女は、園長に励まされて東京の病院へ治療に行き、そこで計らずも礼子に会った。礼子は近く亘と結婚する事になっていたが、彼女は久美子に亘と会うことをすすめた。然し久美子は諦めて広島へ帰ったが、亘は後を追った。久美子は保育園には居なかった。園長は亘の愛情の深さに打たれて久美子の居所を教えてやった。彼女は信州の療養所で働いていたが、恐ろしい傷を受けた体を思うと、愛するが故に亘の愛情を受入れることができなかった。亘の胸に抱かれて泣いた彼女は、その夜、湖に身を投じた。後を追った亘は彼女を救い上げ、久美子の心にも生きる希望が湧いて来た。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.0主人公の男は薄っぺらい

2020年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

戦争末期、主人公(池部良)は入院中の母を看護してくれる女性(司葉子)を愛してしまう。
しかし、親友から妹と結婚してくれと頼まれ、態度がはっきりしない。
看護婦は故郷に広島に帰るが、主人公は追いかけて結婚の約束をする。
主人公は徴兵され、敗戦で引き揚げてくるが、婚約者についてはあきらめていた。
主人公が薄っぺらく見え、これがデビュー作の司葉子の可憐さに釣り合わない。

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いやよセブン

3.0てっきり出征した男性に対する言葉かと思ってたら・・・

2020年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 戦時下のメロドラマ。親友が戦地に赴くことが決まり、「妹・礼子をもらってほしい」と頼まれた藤森亘。しかし、彼には病に臥せっていた母親を最後まで看護してくれた久美子に恋していたのだ。礼子との決断を迫られるも、久美子に会って話をしたかった亘。ところが、久美子は故郷の広島へと突然帰ってしまうのだ・・・。諦めきれない亘。汽車時間を確認し、東京駅で列車に飛び乗り、ようやく久美子を見つけた。途中、空襲に遭うも、二人はキスをして、お互いの心を確認するのだが・・・という前半。

 戦争が二人を引き裂き、すれ違いも続くのだが、後半は一気に様相が変化する。久美子は被曝して、右頬にはケロイド痕、そしていつ発症するかわからない白血病の恐怖と一人戦っていたのだ。

 池部良の演技がさっぱりしすぎていて、新人ながらも司葉子の演技の方が光っていた。顔の火傷痕を見られないようにマスクをして、池部から逃げるように立ち去る姿。何とも言えない悲哀がこもっている。台詞には表れないのですが、愛するが故に自ら引こうとする気持ちが伝わってくる。ちょっと『エレファントマン』を思い出してしまった。

 空襲警報、防空訓練、召集令状、そして列車への空襲と避難のシーン。こうした戦争の悲劇も再確認できる。最も印象に残るのが看護婦さんたちの患者輸送訓練だったかな・・・

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kossy
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