罠を張れ

劇場公開日:

解説

サム・ロルフのオリジナル脚本を、新進ドン・メドフォードが監督したアクションもの。撮影は「若い恋人たち」のジョセフ・バイロック、音楽は「野のユリ」のジェリー・ゴールドスミスが担当した。出演は「絞首台の決斗」のロバート・ヴォーン、「悪徳の栄え」のルチアナ・パルッツィ、「栄光の都」のウィリアム・マーシャルほか。製作はノーマン・フェルトン。

1964年製作/アメリカ
原題:To Trap a Spy
配給:MGM
劇場公開日:1965年1月15日

ストーリー

ニューヨークに本部をもつ特殊機関UNCLEは、通称「おじさん」といわれ、「蜂」と呼ばれる秘密結社を追求していた。メリーランドの会社社長バルカンが「蜂」の幹部であることを知った機関は諜報員ランサーをその会社に就職させたが、西ナツンバのアシュメン首相の暗殺計画を報告した直後、射殺されてしまった。続いて本部にも一味はやってきたが、逆に彼らの方が殺されてしまった。西ナツンバ首相一行が到着した日、腕利きの機関員ソロ(ロバート・ヴォーン)に課せられた任務は、是が非でも暗殺をくいとめろということだった。彼はバルカンの身元を調べあげ、学生時代の恋人エレイン(パトリシア・クローリー)を見つけ出した。ソロは彼女をつれてバルカン主催のパーティに乗り込んだが、敵もさるもの、ソロの素性を見破ってしまった。そして翌日の工場視察は随行の国防相と経済相だけが行くことになった。不審に思ったソロは、視察の前夜、バルカンとエレインがデイトしている工場に潜入した。危うく見つかりそうになったソロは、エレインの手引きで脱出したが、外にはアシュメン首相がいた。そして彼の口から、彼が実は「蜂」の一員であり、自国工場を誘致し、「蜂」帝国を築く計画をきかされた。危険なのは首相ではなく、2人の随行員だったのだ。ソロとエレインは、逮捕されたが、ソロの不屈の努力で2人とも自由の身となった。2人の随行員も死をまぬがれ、バルカンのしかけた大爆発で砕け飛んだのは「蜂」の一味だった。エレインはソロに送られて、夫と子供たちが待つ家庭へと帰っていった。

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映画レビュー

5.0現在はなかなか観る機会に恵まれない007の兄弟分でもある「0011/ナポレオン・ソロ」シリーズ

2023年9月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

TVバージョンだと白黒(第一シーズン)だったパイロット版『The Vulcan Affair』 の、カラー再編集劇場公開版。

日本(英国でも?)での劇場公開時期が、TVシリーズ「0011 ナポレオン・ソロ」の1965年6月からの放送開始前だったことからか、『0011 ナポレオン・ソロ シリーズ』ではなく『Mr.ソロ シリーズ / 罠を張れ』と題され、東急松竹系でロードショー公開されている。

尚、テーマ曲を含め、今作は音楽を全てジェリー・ゴールドスミス氏が手掛けている。
(TVシリーズや、以降の劇場公開編集版は、テーマ曲のアレンジ・バージョン等も含め、他の有名作曲家がエピソード毎に多数参画している。)

シリーズ自体は全編に及んで0011/ナポレオン・ソロ & 0002/イリヤ(・ニコヴィッチ)・クリヤキンのによるコンビ・スパイ物であるが、この映画ではパイロット版であるからか相棒イリヤの活躍が無く、コンビ物としてのストーリーになっていない。

このシリーズは、007の原作者イアン・フレミング氏が本シリーズ制作者と知人だった事で、企画の相談を受けた際に基本設定をアドバイスしたとの経緯があり、ソロとイリヤはボンドとは親戚みたいな関係。
従って、当時の他スパイ物作品のような、単なる便乗模倣作品とは一線を画す。

その他にも、両シリーズは色々と絡みを持っていて、

シリーズ終了から年数が経って1983年に制作された『0011ナポレオン・ソロ2 /帰ってきたナポレオン・ソロ( The Return of the Man from U.N.C.L.E.) 』というTVスペシャルが事実上、このコンビの最終作という事になってしまったが、本編途中にナンバープレートに”JB”と書かれたアストン・マーティンを乗り回して「女王陛下の...」なジョージ・レーゼンビー氏がソロとイリヤを支援するという、”夢の兄弟分共演(?)”みたいなのが存在する。

更にこのジョージ・レーゼンビー=”JB”の登場によって、1983年の007(ジェームス・ボンド)映画が、ロジャー・ムーアのイオン・プロの『オクトパシー』と、ショーン・コネリー復帰作の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』と2作品の公開が有ったことで、奇しくもここまでの歴代3人ボンドが揃い踏み、全員登場の唯一の年となったと言われているとか?

0011と007の関係性は、この『0011ナポレオン・ソロ2 /帰ってきたナポレオン・ソロ 』での長官役が、元のアレキサンダー・ウェーバリー長官役レオ・G・キャロル氏が故人となっていたため、イギリスの人気TVシリーズだった『おしゃれ(秘)探偵』のパトリック・マクニー氏が代わりを務めたが、この『おしゃれ(秘)探偵』の探偵助手で有名になったのが、
『ゴールドフィンガー』のプッシー役のオナー・ブラックマン(第2〜3シーズン)
『女王陛下の007』ボンド婦人=トレーシーのダイアナ・リグ(第4〜5シーズン)
というオチまである。

『おしゃれ(秘)探偵』(別題『スパイ(秘)作戦』)はユマ・サーマンの『アベンジャーズ (1998年』の元ネタの英TVシリーズで、この映画版にはショーン・コネリーまで出たりしていて、パトリック・マクニーも声だけアテてたりしてたようであるが、『おしゃれ(秘)探偵』自体が日本では知名度低く、全話放送もされていないので、上記のネタは気付かれにくいということと、映画版もヒットせずに終わったようだった。

奇妙(?)に感じたのが、1969年公開の『女王陛下の007』のブロフェルド=テリー・サバラス氏は、それに先立つ1967年公開のナポレオン・ソロ劇場版第6作 『0011ナポレオン・ソロ /ミニコプター作戦』にも「伯爵役」で出演していたこと。
なんか笑えます。

因みに、2015年の『コードネーム U.N.C.L.E.』はこのシリーズのリブート劇場版。

このシリーズの主演の一人、イリヤこと、英俳優デヴィッド・マッカラム氏が2023年9月25日、ニューヨークの病院で亡くなった。19日に90歳の誕生日を迎えたばかりだった。
映画「大脱走」や「モスキート爆撃隊」、TVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」のイリヤ・クリヤキンや、「透明人間」、犯罪ドラマ「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」の〝ダッキー〟ことマラード博士で知られた。

合掌。

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アンディ・ロビンソン
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