劇場公開日 2012年9月8日

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「怪奇と幻想のフレンチホラー」リヴィッド Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5怪奇と幻想のフレンチホラー

2021年6月18日
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「屋敷女」のもたらす最凶のトラウマ感が拭えないまま、同作品の監督コンビが送るゴシック・ホラー。そう、今回はゴシック・ホラーなのである。前作から大きな方向転換をした様だが、こちらの方が大衆に勧めやすい(?)形だ。
本作は古い洋館が舞台で、最上階に植物状態の老婆が眠っている。主人公のリュシーは訪問介護のヘルパーだが、その家を訪れた際に同行した先輩ヘルパーから「この屋敷には財産が眠っている」という話を聞く。リュシーはまともだが、色々な事が重なりアホな彼氏とその友達一人の計三人で屋敷の財宝を盗もうと侵入する。その結果恐ろしい体験をするという物だ。不法侵入を働いた時点でアウトであり、自業自得感が非常に強い。

お化け屋敷ホラーかと思ったが、屋敷に入った時点で毛色が変わる。寝たきりの老婆、デボラが元バレリーナであり、「フライブルグバレエ学院」の生徒だった事が分かるのだ。そう、あの「サスペリア」のフライブルグバレエ学院だ。そして、早くに亡くなったとされるその娘、アナが剥製にされていた所から気分は最高潮に。ここまで言うと映画ファンはピンと来るだろうが、本作はヴァンパイア映画だ。監督曰く、歴史ある吸血鬼文化にファンタジー要素を追加して描いたとの事だ。

上記の様にファンタジー要素が絡めてあるため、説明のつかない描写が多い。それが幻想的でより作品の質を上げているのだが、物事が全て明確に分かる作品が好みの方には向かないだろう。本作はこの雰囲気等を思う存分味わえば良いのである。恐怖描写もクオリティが高く、寝たきりと思われた老婆がベッドから消えたシーンに心の底から鳥肌がたった。また、前作に引き続きスプラッタ的表現が多いが、全体的におとぎ話の様な詩的な世界観が展開されており、思わず残虐さもその一つとして捉えてしまう。鑑賞後は説明のつかない部分でモヤッとするかも知れないが、じっくりと鑑賞して理解を深めるという楽しさも味わうことが出来る作品である。

Mina