劇場公開日 2013年5月3日

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「クルマとマシンガンが牛耳る世界」L.A. ギャング ストーリー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5クルマとマシンガンが牛耳る世界

2013年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

寝られる

登場人物に魅力があり、ストーリーもおもしろい。
力ずくで裏社会を牛耳り、あらゆるシノギで稼ぎまくるギャングの大物ミッキー・コーエンは警察も政治家も抱き込んでやりたい放題だ。そのうえカリスマ性もある。
このコーエンの組織に立ち向かうオマラ巡査部長が賄賂を受け取らない堅物で、両者が戦後間もないロサンゼルスの暗黒街で火花を散らすという荒っぽさは、久しぶりにハードボイルドという言葉が似合う映画だ。
ショーン・ペンとジョシュ・ブローリンがコーエンとオマラになりきりぶつかり合うだけでもじゅうぶん見応えがある。

そこにニヒルなウーターズ(ライアン・ゴズリング)とコーエンの情婦グレイス(エマ・ストーン)による色恋を絡めてくる。ときには、この二人のほうが主役ではないかと思わせる構成だが、話の芯がブレるどころか裏切りと報復という危ない添加剤となって緊張の糸をぐいと引き締める。

オマラの暴走を心配する妻のコニー(ミレーユ・イーノス)がまたいい。平和な暮らしを望みながらも夫の片腕となる人選に目が利くあたりは只者ではない。なかなかオイシイ役どころだ。
「ターミネーター2」でT-1000だったロバート・パトリックもカッコいいオッサンになった。腕のいいガンマンで話を最後まで大いに盛り上げる。

ギャングにはギャングを・・・クルマとマシンガンが唸る荒療治の醍醐味を存分に楽しんだ。
綺羅びやかでエネルギッシュな時代を描いた映像と音楽も文句なし。
たった113分とは思えない、旨味がぎっしり詰まった濃厚な作品だ。

p.s. こういう作品を観ると、アメリカがそう簡単に銃を手放せない土壌の上に成り立っていることがわかるような気がする。銃による事件が映画の中だけになる日が来ることを祈りたい。

マスター@だんだん