劇場公開日 2013年5月3日

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L.A. ギャング ストーリー : 映画評論・批評

2013年4月30日更新

2013年5月3日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

アメリカ的な、正当にして無法なバイオレンスアクション

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第2次大戦後のロサンゼルスを牛耳ったユダヤ系ギャング、ミッキー・コーエンの認知度は、バリー・レビンソン監督の「バグジー」(91)で一挙に広まった。ラスベガスを創ったハリウッド俳優顔負けの美男バグジーのずんぐりむっくりな片腕、相棒として暗躍したのがコーエンである。バグジーにウォーレン・ベイティ、コーエン役をハーベイ・カイテル(「レザボア・ドッグス」のMr.ホワイト)がこなした。バグジーが殺された後、天使の街の半分を押さえ支配することになるコーエンを撲滅せんとして結成されたチームを描くのが、この「L.A. ギャング ストーリー」である。リアル・ギャングに対抗するには警察もギャング化するしかない、というアメリカ的な、正当にして無法なアイデア。かなりの警察官がコーエンの金で潤っていた時代の話である。

キャスティングでは、このチームを創った市警本部長パーカーに老いたニック・ノルティというのが頼もしくていい、というか彼しかいない。というのもノルティが軍の暗部に市警の分際で踏み込んだリー・タマホリ監督の大傑作「狼たちの街」(96)の活躍があるからだ。この時、ノルティの部下の一人がクリス・ペンであった。クリスも今回、役を得ていれば、コーエンを演じる兄ショーンとの直接対決もあり得たわけだ。現場担当のジョン・オマラ(ジョシュ・ブローリン)、ジェリー・ウーターズ(ライアン・ゴズリング)あたりはまさに旬のキャストだが、旬を外しつつ絶妙の味としてチームに加わったのが「ターミネーター2」のロバート・パトリックか、老けたな。

監督は遊びに満ちた「ゾンビランド」(09)でデビューした期待の新鋭、ルーベン・フライシャー。さすがにショーン・ペン=コーエンの眼光を前にしてビビッたかと見えたが、逮捕の激闘に遊びの爆発があった。タイトル・バックの古きロスの絵葉書がなんともノスタルジア。

滝本誠

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