劇場公開日 2011年9月17日

「あの日あの夏、妖かしの森で…」蛍火の杜へ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あの日あの夏、妖かしの森で…

2019年1月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

『夏目友人帳』の原作者の短編漫画を、『夏目友人帳』のアニメスタッフが映画化。
『夏目友人帳』はしっかりと見た事なく、数話チラチラと見た事ある程度だが、あの作風は嫌いじゃない。

自分が感じた『夏目友人帳』の作風とは…
妖かしが登場する作品でありながら、怖さは全く無く、独特で幻想的で、何処かユルくてユーモアもあって、ハートフル。
本作もそうでありながら、さらにノスタルジーを誘う。

夏休み、祖父の住む田舎を訪れた少女・蛍は、妖怪が住むと言われる“山神の森”で迷子になってしまう。
そこで、キツネのお面を被った少年・ギンに助けられ…。

あの日あの夏、自然の中、不思議な出会い…。
これらに堪らなく胸掻きむしられる。

人間でも妖怪でもないギン。
しかし、森の妖怪たちに好かれている。
その哀しい生い立ち…。
また、人に触れられると消えてしまう。
それが本作を語る上で欠かせない。

当初は歳も少し離れ、友達か仲良しのお兄ちゃんか従兄弟のような関係だったろう。
が、ギンは歳を取らず、成長していく蛍はギンと近くなり、仄かに抱き始める。
淡い恋心。
毎年毎年、夏の再会が何よりの楽しみ。
山神の森はいったん足を踏み入れれば心を奪われると言われるが、蛍も言い伝えとは違う意味で心を奪われ…。
もっとギンと一緒に居たい。
就職もこの地で考え始める。
でも、只一つ。
どんなに想いが募っても、触れる事だけは出来ない。

高校生になった蛍は、ギンに誘われ、妖怪たちの祭りに行く。
初めてのデート。
このシーンは幻想的でユーモラスで、ロマンチック。
が、思わぬ出来事が。
ギンに触れられる最初で最後…。

展開は淡々として、退屈に感じる人も居るかも。
でも、その淡々とした展開は作風に合ってるし、二人の距離感も絶妙に表している。
1時間弱の尺ながら、魅力が濃縮!

あの日あの夏、不思議で大切な出会いと思い出。
今でも訪れる度に、思い出す…。

近大