劇場公開日 2011年4月9日

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ザ・ライト エクソシストの真実 : インタビュー

2011年4月9日更新
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アンソニー・ホプキンス、座右の銘は「勇敢であれ」

最新作「ザ・ライト エクソシストの真実」(4月9日公開)でアンソニー・ホプキンスが演じるのは、主人公の神学生(コリン・オドナヒュー)に悪魔払いを教える異端のエクソシスト。そのエキセントリックな設定から、「羊たちの沈黙」シリーズのハンニバル・レクター博士をイメージしてしまうかもしれないが、今回のルーカス神父はまったく違ったキャラクターに仕上がっている。俳優業だけでなく、画家、作曲家としての活動にも精力的なサー・アンソニーに、米サンタモニカで取材した。(取材・文:小西未来)

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――作品を拝見する前は、過激なバイオレンス描写が売りのホラー映画だと勘違いしていました。

「正直に言うと、エージェントからこの映画の脚本が送られてきたとき、私もそう思ったよ。ホラーは好きじゃないし、不気味なキャラクターなんてもう演じたくもない、とね。でも、妻が脚本を気に入ったので読んでみたら、とても感心してね。それでミカエル・ハフストローム監督に会ってみたら、知性があって、しかもリラックスしていて、一緒に仕事をするのが楽しみになった。実際、最近の出演作のなかで最も楽しい映画体験になったよ」

――「ハンニバル・レクター」シリーズに出演されているあなたが、ホラー嫌いというのも意外ですね。

「そもそも暴力描写が嫌いなんだ。派手なアクションも過剰な暴力も、セックスシーンだって好きじゃない。そういう露骨な演出は幼稚に思えてしまうんだ。『ローズマリーの赤ちゃん』は大好きな作品だが、あれはホラーというよりは心理サスペンスだ。『羊たちの沈黙』にしても同じ。『エクソシスト』や『シャイニング』『サイコ』も、私が好きなホラー映画というのは、すべてキャラクターの心理に重点が置かれているものなんだ」

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――エクソシズムについては関心があったんですか?

「いや。映画『エクソシスト』を見ていたくらいだよ。それで、この映画に出演するに当たり、たくさんの本を読んだ。ただ、正直に言わせてもらえば、これらの本は誇張されていると思う。こういう現象は、悪魔に取りつかれているというよりも精神異常ではないかと個人的には思う。ただ、正解が存在しない以上、どんな可能性にもオープンでいるつもりだ」

――ルーカス牧師は、これまで演じたキャラクターのなかで、最もあなた本人に近い印象を抱きました。ある分野における卓越したプロフェッショナルでありながら偉ぶるところがなく、とてもフレンドリーなのに孤独が好きなところとか。

「確かに似ているかもね。実際、この役を演じるときはうちの父をイメージしていたから。ただ、私は世を捨てているわけではなくて、数人の友だちや家族という小さな輪のなかで満足しているだけなんだ。彼らと時間を過ごしたり、あるいは絵を描いたり、音楽をつくったり、読書をしたりという生活を愛している。私は人生をひとつの長い夢と捉えているんだ。酒とバラの日々もしょせん、はかない夢である、とね」

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――だからこそ、人生を満喫しているように見えるのですね。今回の役どころと同じように、あなたは若手俳優に寛大で積極的に手助けすることで知られています。

「彼らは私の演技仲間であり、現場では緊張して不安になっていることが多い。どんな仕事でも新人のうちはそう感じるものだ。だから、彼らが自分の力を発揮できるように手助けするのは当たり前のことだ。彼らがキャリアで成功を収めるかどうかはわからないけれどね」

――あなたにとっての恩師は誰だったんですか?

「ローレンス・オリビエとリチャード・バートン、アルバート・フィニーだね」

――彼らにもらったアドバイスで、その後のキャリアに役立ったものはありますか?

「ローレンスに言われた、『勇敢であれ』という言葉だね。『常に、大胆であれ』と。そのアドバイスは今でも胸に刻んでいるよ」

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