劇場公開日 2011年10月29日

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「民主主義とは」フェア・ゲーム xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0民主主義とは

2011年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

皆さん、こんにちは(いま10月31日10:30頃です)

ナオミ・ワッツファンの僕ですら、あまり期待していなかった。
試写会で見た人も映画的にはそんなにおもしろいとはいえない
といっていたし、実話だから、映像的なインパクトが
あるわけではないだろうと思っていた。
イラク戦争というリアルな題材に、ブッシュ政権と女スパイが絡んだ事件。
アメリカではスキャンダラスな事件だったろうが、
日本ではあまりピンとくるものではないし。
だから日本公開を知って意外な気がしないではなかった。
(僕としてはうれしかったけど・・・)

だから、僕はナオミ・ワッツとショーン・ペンの関係に注意を払った。
監督から指名を受けたナオミ・ワッツは間髪をいれず、
その夫役にはショーン・ペンしかいないと電話を入れたという。
名作「21グラム」や「ニクソンを撃った男」で共演していて、
その性格や力量を知っている仲だ。そして、なによりもブッシュ政権に批判的なことも知っている。政治的にハッキリしているこういう映画に出演するのはある意味でリスクもあると思う。
そんな映画だからこそ、ふたりの信頼関係が必要だったといえる。

女スパイとして言ってはいけないところ、
夫婦関係がギクシャクするところ、
そして、お互いに権力と戦おうとするところ
ナオミ・ワッツとショーン・ペンは複雑な精神状態をうまく演じていた。
(もちろん、21グラムもほどの深みはなかったけれど)

最後に、言っておきたい。
アメリカは傲慢でひとりよがりの面と、
でも、それをちゃんと検証しようとするリベラルな面が
常にせめぎ合っている国だと思う。

民主主義とは、実に不完全なものだけど、それでも捨てられないものだな
と思った。

xtc4241