劇場公開日 2011年10月29日

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「全然ストーリーに関係ないレビューですいません。」フェア・ゲーム MizuMotoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0全然ストーリーに関係ないレビューですいません。

2011年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

国産ドラマに不満を感じさせられる点は、
キャスティングでも撮影手法でもなく演技だ、
という方は多いと思います。

特にインテリ設定のはずの人物が
セリフに専門用語を羅列したり、
一貫して自信満々な態度を取ったり、コイツ本当に頭がいいの?
と疑問がよぎって移入できない人は少なくないのではないでしょうか。

インテリキャラを表現することについて、
日本はまだ輸入すべきものがたくさんあるなと
この映画を見ると痛烈に感じさせられます。

それほど今作のナオミ・ワッツの演技は素晴らしい。
質問に答えているだけでも既に、
頭の良い女性を完璧に演技しきっています。

上司に業務詳細を即答するシーン、
夫に答える前に一瞬(本当に一瞬)間をおいて、嘘を付くシーン、
約束を果たせと問い詰める女性に謝罪するシーン、
疲れ果てて夫に独白を始めるシーン、
ゴシップ記者に怒りを飲み込んで無難なコメントを述べるシーン、

彼女は上のすべての語り出しに、0コンマ単位で差をつけます。
するとシンプルなセリフに、言葉にできない想いが加わり
『頭の中でいろいろ思いを巡らせる女性』が見事に表れます。

ストーリーはプレイム事件について。
アメリカ版の西山事件で、実話。
大きな国の問題が、小さなスキャンダルにすり替わります。

最後のスタッフロールでは伏字の人名ともう一つ
ある工夫がされ、その演出が現実にあった事件だという
重みを増すことに成功しています。

大人の、ある程度知能指数の高い人なら
興味深く最後まで見られます。

MizuMoto