劇場公開日 2023年8月26日

「割り切れない」ポエトリー アグネスの詩 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5割り切れない

2023年8月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イ・チャンドン レトロスペクティヴにて、初見。
冒頭から、日常の美しい風景と不穏さが同居している。
慎ましい生活と隠された暴力性、美しい言葉と禍々しい血のイメージ。
言葉の端々から想像されるとおり、ミジャもまた性暴力の被害者だったのではないか(それで生活していた?)、また姉から殺されかけたのではないか?
だからアグネスの話を聞いたときにどうしてもアグネス側にしか共感できなかったのではないか?
「実を落として踏まれることで生まれ変わる」杏はそうした女性を現しているのではないか?
そうした疑問が浮かんでは消える。
その結果としてミジャが紡いだ言葉の美しさは、アグネスの姿とともに鮮烈に観客の心に刻まれる。
割り切れないし、割り切ってはいけない傑作。

ぱんちょ