劇場公開日 2011年5月28日

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「「あまりにも重すぎた」ということか。」マイ・バック・ページ talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「あまりにも重すぎた」ということか。

2023年3月28日
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1970年頃の日本と言えば、高度成長の絶頂期といったところでしょうか。
空前絶後の経済成長を背景に、日本中が「何でもできる」と過熱していた時期とも言えます。
そんな頃ですから、いわゆるセクトに加入していた大学生たちも、理論や暴力(武力)で階級闘争を勝ち抜き、自分たちの力で権力を倒して社会変革する(革命を起こす)ことも可能と考えていた時代と言えると思います。
そして、本作の梅山(松山ケンイチ)もご多分に漏れなかったと言うことでしょう。

他方の沢田(妻夫木聡)にしても、本紙編集部には入れなかったものの(否、本紙編集部どころか(社会問題に鋭く切り込んでいるという設定の)ジャーナル編集部にも入ることができず、不本意な週刊誌編集部に配属となってしまっただけに、それらの編集部員を見返すべく)、いっぱしのジャーナリスト気取りで、ますます意気軒昂だったのだろうと思います。

そこへ、この結末ですから、梅山も沢田も、自分の中では咀嚼し切れないほどの挫折感を味わったことは、想像に難くないと思います。
(最後の沢田の涙の理由も、そういう意味に、評論子は理解しました。)

結局、梅山も沢田も、自分の余白(バック・ページ)に押し込んでしまうには、その挫折が余りにも重すぎたということだったのではないでしょうか。
そう思いました。評論子は。

佳作であったと思います。

talkie