劇場公開日 2010年10月9日

  • 予告編を見る

ナイト&デイ : 映画評論・批評

2010年10月5日更新

2010年10月9日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

飛躍また飛躍! 2大スターを爽快に駆け回らす職人監督の話術に脱帽

画像1

映画専門サイトを頻繁に訪問する熱心な映画ファンの中には、このトムキャメロンの2大スター共演作にさほど興味が持てず、「どうせ大味なハリウッド映画でしょ?」といぶかる向きもいるだろう。いやいや、“おおらか”だが、決して“大味”ではない。何せ監督はジェームズ・マンゴールドである。青春、ロマコメ、サイコスリラー、音楽伝記ドラマ、西部劇と多彩なジャンルの娯楽作を次々と手がけ、外れナシの快打を連発。めっきり職人肌が少なくなった現代のハリウッドでは極めて貴重な存在だ。

トム扮する謎の男ミラーが突如戦闘モードに豹変し、唖然とするヒロインを尻目に、操縦士不在の飛行機をさくっと不時着させる序盤からして掴みは完璧。かくしてお尋ね者となった2人は絶海の孤島や欧州各地を逃げ回るのだが、その“あれよあれよ”な語り口が実にうまい。例えば「2人はA地点からB地点に、どう移動したのか?」という途中経過をすぱっと省略。うるさ型の観客が突っ込みを入れそうなリアリティの問題よりもリズムと飛躍、すなわち映画の魔法というべき効果を優先した話術がこのうえなく爽快なのだ。

主役2人のスクリューボール・コメディ風の掛け合いも、ハリウッド黄金期の古典に精通するマンゴールドならお手のもの。その一方で「ヒーローがヒロインを救う」という古風な筋立てを、今風にひっくり返すあたりも心憎い。そう、最後に“救われる”のは男のほう。トムの常軌を逸したハイテンションな謎キャラの設定を生かしたその仕掛けもまた、洒落っ気たっぷりなのであった。

高橋諭治

Amazonで今すぐ購入

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る
「ナイト&デイ」の作品トップへ