劇場公開日 2008年7月19日

崖の上のポニョ : 特集

2008年7月14日更新

プロデューサー発言に見る、「ポニョ」を読み解く4大キーワード

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海から見上げる崖の上に建つ宗介の家
海から見上げる崖の上に建つ宗介の家

■海

宮崎作品といえば主人公が空を飛ぶシーンは有名だが、今回の舞台は「海」。海を作品の大きな舞台として扱うのはほぼ初めてだ。

海の中の描写も楽しい
海の中の描写も楽しい

「宮さんの好きなものは空と、それから海なんです。また、アニメーションで一番描くのが難しいと言われているのが“火”と“水”ですが、それらをどう描くかということです。『ハウル』に出てくる火の悪魔カルシファーで、彼は火をどう描くかに挑戦しました。カルシファーは、全編を通して宮崎駿ひとりで描いています。それで次は“水”です。ちなみに、『ハウル』の公開初日に宮さんは瀬戸内海のとある街を訪ねていましたが、そこで見た風景も、今回の映画と大きな関係があります」

ピクサーのCGアニメ「ファインディング・ニモ」は本物と見まごう海を描いたが、「ポニョ」は基本的に絵は全て手描き。「ニモ」のように写実的ではないが、海中のプカプカとした泡や嵐の際のうねる海面など、さまざまな表情をみせる。また、たびたび海の水が魚のかたちとなって現れることにも注目。

「『海も生き物である』ということです。『生きとし生けるものは人間だけではなく、小さな昆虫、石、海、波にまで命は宿る』。そんな思いを宮崎はやってみたかったんです」

空を飛ぶシーンはないが、ポニョやその妹たち、多種多様な海の生き物たちが海の中を時にまったりと、時にスピーディーに泳ぎ回るシーンや、変幻自在な波のうねりは、従来の飛行シーンに匹敵する見どころ。

子供たちに希望を与えるキャッチコピー
子供たちに希望を与えるキャッチコピー

■生まれてきてよかった。

ジブリ作品では毎回印象的なキャッチコピーがおなじみだが、今回はこれ。ジブリ作品のコピーは糸井重里が多数考案していることでも有名だが、今回は鈴木プロデューサーによるもの。

「宗介とポニョが出会う不機嫌な顔の赤ちゃん。ポニョが機嫌を直してあげるんですが、あの赤ちゃんの出会いのシーンは何を言いたいのか? あの赤ん坊は、『生まれてこなければよかった』と思っているんです。(コピーは)それを逆転させたものです。『生まれてこなければよかった』という一言が、もしかしたら今の時代に重なるかもしれない。だとしたら、その逆を言ってあげることが、一番大きな意味になると思ったんです」

子供の目からみた美しく楽しい世界と少年少女のまっすぐな恋、無償の愛でつながった母と子、生命にあふれる海……そうしたものを通し、混迷した現代社会にあって「ポニョ」は、子供たちが「生まれてきてよかった」と言えるような作品にならんとして描かれている。

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