劇場公開日 1982年8月14日

「初公開時に殆どカラッポの有楽座で鑑賞、兎に角、映像の綺麗なのが印象的だった」ワン・フロム・ザ・ハート アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0初公開時に殆どカラッポの有楽座で鑑賞、兎に角、映像の綺麗なのが印象的だった

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館、TV地上波

ロードショー公開された時に、当時日比谷にあった有楽座にて鑑賞。

その素晴らしい映像美と、トム・ウェイツ&クリスタル・ゲイルの曲との相性による、なんとも切ない感あるこの作品の独特の世界観にハマりました。

主演の2人の、もう人生の旬の時代は過ぎ去ってしまった感じの、気怠いような互いに冷めきった感が、若々しいナスターシャの美しさとのギャップにより際立ち、“限られた空間”と“限られた登場人物”と、そこにミュージカルの如く主人公たちの心の内を代弁するかのようなトム・ウェイツ&クリスタル・ゲイルの歌唱により織りなされる、幻想的でもある作品空間。

あの有楽座の、70mm対応の大スクリーンでこの作品を映像体験出来たこと、本当に幸せな限りです。
作品世界に取り込まれるような感じでした。

全てがスタジオ内の構築したセットで撮影されたという異色作品で、その前の『地獄の黙示録』とちょうど真反対の作られ方の作品ということで話題にだけはなったものの、興行的に大失敗して、コッポラ氏は全てを失ったという、曰く付きの作品でもあった。

個人的には、とても気に入っていて愛着のある作品となったので、鑑賞後には直ちに輸入盤でサントラLPを買って愛聴していたし、大変残念、かつショックでもありました。

コンセプト的に、まだ“早すぎた作品”だったのかもしれず、大衆の理解や支持を得る事が出来なかったのかな、とも。
現在では、その後再評価の機運もあって、ある程度復権出来ているように思われますが?

公開から既に40年以上経ってしまってるんですね、なんだか時々あの映像世界が懐かしく思い出され、久しぶりに観て観たくなる作品です。

隠れた名作かな、これも?

アンディ・ロビンソン