見憶えのある他人

劇場公開日:

解説

「妻を殺した」と告白する患者に接した高名な精神分析医が危険な罠に陥っていく姿を通し、人の心に潜む“魔”を描いた犯罪ミステリー。フランスの作家ジャン=ピエール・ガッテーニョの処女小説『悪魔の囁き』(邦訳・扶桑社)を、「地獄の貴婦人」「華麗なる女銀行家」のフランシス・ジローの監督で映画化。脚本はジロー、「深夜カフェのピエール」のミシェル・グリゾリア、著名な精神分析医のジェラール・ミレール(台詞も)の共同。製作はブリュノ・ペゼリとミシェル・セイドゥ、撮影は「無伴奏『シャコンヌ』」のシャルル・ヴァン・ダム、音楽は「絹の叫び」のアクレサンドル・デズプラ、美術は「アメリカの贈り物」のベルナール・ヴェザ、編集は「インドシナ」のジュヌヴィエーヴ・ウィンディング、衣裳は「赤い航路」のジャッキー・ビュダン。出演は「八日目」のダニエル・オートゥイユ、「ペダル・ドゥース」のパトリック・ティムシットとミシェル・ラロック、「彼女たちの関係」のアンヌ・パリロー、「そして僕は恋をする」のマリアンヌ・ドニクール、「小さな泥棒」のクロチルド・ド・ベゼール、「百貨店大百科」のマルク・ベルマンほか。

1996年製作/105分/フランス
原題:Passage A L'acte
配給:クレストインターナショナル
劇場公開日:1997年11月8日

ストーリー

パリの高名な精神分析医リビエール(ダニエル・オートゥイユ)は、高すぎる報酬を取ることで仲間うちから批判があり、また同業の妻と離婚後、家のローンの支払いに苦慮するなど多少の問題はあったが、世間的には成功を収めていた。彼は出版社の女性編集者と昼下がりの情事を楽しんだりする反面、自分に好意を寄せ、言葉で誘惑しようとする裕福な美しい女性患者イザベル(アンヌ・パリロー)に対しては一線を画し、プロとして冷徹な態度を崩すことはなかった。ある日、ベルグ(パトリック・ティムシット)という不気味な男の患者が面接中に「妻は死にました。実を言うと私が殺したんです」と告白した。リビエールはそれが虚言症の患者にすぎないのか、本物の殺人者なのか判断がつかなかった。医師として秘密を守るべきか、それとも警察に引き渡すべきか。ベルグの態度はまるで彼を試すかのように挑戦的だった。その頃から、リビエールの周囲で不可解な事件が起こり始める。まず、彼の車を買った男が、その車を運転中に事故死した。ひょっとして何者かが彼を殺そうとしているのか。数カ月前には、彼の恩師メイエール博士がやはり自動車事故で死んだばかりだった。二つの事件は、精神科医に恨みを持つ同一犯人の仕業かも知れない……。リビエールが警察から渡された博士の患者リストの中には、元博士の患者だったと称するベルグの名はなかった。なぜ彼は嘘をついたのか? 何のためにリビエールに近づいてきたのか? リビエールの別れた妻フローランス(ミシェル・ラロック)と幼い息子の周囲にも、明らかにベルグ本人と思われる不気味な影がちらつくようになった。さらに、リビエールの男性患者の一人が列車から飛び降りて死に、その直前にベルグはそれを予言するような発言をリビエールにしていた。リビエールはベルグに対する苛立ちを募らせながらも彼の正体を探るべく、のめりこんでいく。リビエールは、ベルグが妻を殺した後、彼女は国外にいるように偽装するのを手伝わせたトップレス・バーの女ニナに接触するが、ベルグは彼女も殺してしまう。ベルグは変装してアンリという架空の男に化けてイザベルに近づき、彼女と婚約していた。ベルグはリビエールを呼び出し、イザベルを殺して彼に罪を着せようと計画していると告げる。ベルグはイザベルに、何かあった時はリビエールに財産を贈与する遺言状を書かせていた。つまり、精神分析医が金持ちの娘の財産を狙っていたという筋書きなのだ。リビエールはベルグを射殺し、自殺に見せかけてその場を去った。警察はイザベルに容疑をかけるが彼女は自殺した。彼女の遺産はリビエールに支払われることになったが、彼は真相を誰にも告げなかった。数日後、彼の元に届いたビデオカセットを再生すると、そこにはベルグの姿が。テレビの中のベルグは「悪党め。財産の話を聞いてイザベルに罪をなすりつけたな。殺人の種に水をやり続け、とうとう開花した……」と言う。だが、それを聞いても既に良心の呵責を感じなくなっていたリビエールは、同じ精神分析医のナタリーと再婚した。

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