北極の基地 潜航大作戦

劇場公開日:

解説

「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」のアリステア・マクリーンの小説を、「ダンディー少佐」のハリー・ジュリアン・フィンクが、まず映画用のストーリーにし「ボー・ジェスト(1966)」のダグラス・ヘイズが脚色、「墓石と決闘」のジョン・スタージェスが監督したアクション篇。撮影はダニエル・L・ファップ、北極圏での撮影はジョン・スティーブンスとネルソン・タイラーが当った。音楽は「今宵限りの恋」のマイケル・グランドが担当した。出演は「トブルク戦線」のロック・ハドソン、「特攻大作戦」のアーネスト・ボーグナイン、「トマシーナの三つの生命」のパトリック・マクグーハン、「戦争プロフェッショナル」のジム・ブラウンほか。製作は「いそしぎ」のマーティン・ランソホフ。

1968年製作/アメリカ
原題:Ice Station Zebra
配給:MGM
劇場公開日:1968年12月21日

ストーリー

北極の氷原にあるイギリスの気象観測基地“ゼブラ”からSOSが発せられた。何か事故が起こったらしい。さっそく、アメリカとソ連が生存者救出に乗り出した。しかし気象の関係で飛行機は出せない。そこでアメリカ側は、ファラディ艦長(ロック・ハドソン)が率いる原子力潜水艦タイガーフィッシュ号を急行させた。出航まぎわ、イギリスの諜報員ジョーンズと海兵隊が乗り込んできた。さらに出航後、洋上でヘリコプターからジョーンズの仲間でロシア人のバスロフ(アーネスト・ボーグナイン)が乗り込んできた。やがて奇怪な事件。潜水艦に水がもれてきた。怪しいものが艦内にいるに違いない。バスロフかもしれない、と言い出す者もいたが証拠は何もなかった。やがて潜水艦は北極の基地に着いたが、気象観測所員は半分以上が死んでおり、ほかも意識不明であった。しかも、3人はピストルで射殺されている。何かあったに違いない。やがてファラディ艦長は、ことの次第を知り始めた。というのは、ソ連の人工衛星が上空を飛び、アメリカ、ソ連のミサイル基地を撮影した。ところが、その衛生が、ゼブラ基地に落ちたのである。そのフィルムの、うばいあいの果ての惨劇であった。そしてカプセルに入ったフィルムは、まだ、この基地にある。そこへ、天候回復でソ連がジェット機を飛ばしてやって来た。フィルムをめぐって、米ソは一発触発の雰囲気となり、氷原は異様な緊張につつまれたのである。フィルムの入ったカプセルが発見された。これには、同調する2つの電波探知機がある。そしてこの探知機は米ソ双方が持っている。どちらかがボタンを押せばカプセルは爆発してしまうのだ。国の運命をかけて、にらみ合う大国。バスロフがソ連側に走った。やっぱり彼はスパイだったのだ。そしてついに、カプセルはソ連側に渡ってしまった。彼らは、それを風船に結びつけて、飛行機がキャッチするように空に放った。その時ファラディ艦長はボタンを押し、フィルムは空中で消失。すべては終わった。やがて世界にニュースが流れるだろう--北極の基地ゼブラで生存者救出のため米ソが協力したと。だが、その現場にいた者は知っている。力の均衡という表現で保たれている世界平和の現実を。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第41回 アカデミー賞(1969年)

ノミネート

撮影賞 ダニエル・L・ファップ
特殊視覚効果賞  
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映画レビュー

2.0序曲・休憩・出口音楽を設け、大作ムードを醸したものの…

2021年5月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

監督は名作「荒野の七人」「大脱走」
のジョン・スタージェス、
原作は名作「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」
のアリステア・マクイーン、
音楽は名作「シェルブールの雨傘」
「おもいての夏」のミッシェル・ルグラン、
これで面白く無いはずも無く、しかも、
子供の頃に観て印象が強く残っていたため
レンタルして観たが、残念な作品だった。

前半は、実際の潜水艦を使った迫力の映像と、
誰が裏切り者なのかの想像を巡らされる
ストーリー展開に惹き付けられた。

しかし、原作なのか脚本なのか分からないが、
細部の検討が甘すぎた印象だ。

潜水艦に乗り込んだソ連スパイは、
破壊工作の後、他の乗組員を助ける等の行為
をしながら、なぜ自らは安全なエリアに
避難しようとしなかったのか。
あるいは、沈むことを前提の破壊工作だった
のか、旧日本軍や昨今の過激イスラム教徒の
ような自爆も厭わない精神の持ち主としての
描写は無かったように思うが。

飛行機も飛べないような北極の悪天候の中、
5キロにも渡る氷上行軍は可能だろうか。

ミグの編隊飛行シーンで、何故、実写と
合成画面で、機数の異なる映像を使うのか。

圧倒的な兵力差と言っていながら、
優位な側が何故わざわざ煙幕を張るのか、
また、艦長が交戦中止を叫ぶほど、
何故か米国側にへ余裕のある戦いシーン。

等、後半の北極のセットシーンになって
御都合主義的な展開が続き、
私としてはリアリティの欠如が甚だしく感じ
面白味が激減した。

大作ムードは醸したものの、
中身は伴わず、私の評価としては、
前半🌟🌟🌟、後半🌟、の合わせ🌟🌟です。

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KENZO一級建築士事務所

4.0題名がB級映画ぽいのですが、内容は超大作の構え

2019年9月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これはおすすめ!面白い!
題名が原題も邦題も安っぽくB級映画を思わせますが、内容は超大作の構えで作られている豪華冒険アクション映画なのです!
内容は超一級です
有名スターが出演していれば大ヒット間違いなしで、こんな忘れ去られた作品にはなっていないでしょう

監督はあのジョン・スタージェス、原作は冒険小説の巨匠アリステア・マクリーン
それをシネラマで撮っています
更に音楽はミシェル・ルグラン
尺はなんと3時間弱でオーバーチュアとインタミッション入りなんですから気合いの入れ方が違います

脚本も撮影も特撮も演出も素晴らしい仕上がり
アリステア・マクリーンの小説を読んでいるときに感じる味わいが見事にスクリーンに再現されています

ハッキリ言って虚々実々のサスペンスや軍事的スリルは名作ナバロンの要塞より上を行くものです

とはいえなぜ大ヒットせず、映画の歴史に残らず埋もれてしまったのでしょうか?

あまりにアリステア・マクリーンの世界の再現にこだわり抜いた渋い男の世界過ぎたのだと思います
甘さは皆無、ユーモアもロマンスもヒューマニズムもなし、派手な撃ち合いすら有りません
つまりあまりにも女子供はすっ込んでろ!の映画過ぎたのです

女性はただの一人もでてきません
端役でもエキストラすら女性は皆無です
よってロマンスのロの字もありません
ヒットするには主要登場人物の誰かを映画では女性にすべきだったかも知れません

何より主要登場人物の配役が渋すぎです
良い役者ばかりで登場人物のイメージにピッタリの配役なのですが皆渋すぎです
ヒットの為にはもっとスターを配役しないと無理です
これだけの大作の構えなのになぜそうしなかったのでしょうか?

ファラデイ艦長、ジョーンズ、アンダース大尉の三人にはもっとスターを配役すべきでした
たとえばそれぞれグレゴリー・ペック、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソンを当てるべきでした
その顔があればきっと大ヒット間違いなしだったでしょう
第一、アーネスト・ボーグナインがキャラが立ちすぎなくらいなので、そのレベルの配役にしないと釣り合いがとれていません

そしてクライマックスのカタルシス不足
クライマックスのソ連軍大佐との対決は正にアリステア・マックイーンの世界そのもので、これはこれで素晴らしいのですが、やはりいささか地味すぎです
ナバロンの要塞のような派手な分かり易いカタルシスが得られません
映画なのですから派手にドカーンと大爆発シーンがないと終わった感がでません

とはいえ大人の男の鑑賞に耐える濃密な本格サスペンスと緻密なディテールが詰まった映画です
原潜は旧式ながら実物を使い、艦内部のセットも本物に見紛う程のクオリティで安っぽさは皆無
題名通りの北極海の海氷の下を潜航していくシーンは美しくかつ素晴らしい緊迫感がありました
観終わったあとの満足感が違います
これは観て得した~という喜びを感じる佳作です
オススメ致します!

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