劇場公開日 1968年12月21日

「題名がB級映画ぽいのですが、内容は超大作の構え」北極の基地 潜航大作戦 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0題名がB級映画ぽいのですが、内容は超大作の構え

2019年9月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

これはおすすめ!面白い!
題名が原題も邦題も安っぽくB級映画を思わせますが、内容は超大作の構えで作られている豪華冒険アクション映画なのです!
内容は超一級です
有名スターが出演していれば大ヒット間違いなしで、こんな忘れ去られた作品にはなっていないでしょう

監督はあのジョン・スタージェス、原作は冒険小説の巨匠アリステア・マクリーン
それをシネラマで撮っています
更に音楽はミシェル・ルグラン
尺はなんと3時間弱でオーバーチュアとインタミッション入りなんですから気合いの入れ方が違います

脚本も撮影も特撮も演出も素晴らしい仕上がり
アリステア・マクリーンの小説を読んでいるときに感じる味わいが見事にスクリーンに再現されています

ハッキリ言って虚々実々のサスペンスや軍事的スリルは名作ナバロンの要塞より上を行くものです

とはいえなぜ大ヒットせず、映画の歴史に残らず埋もれてしまったのでしょうか?

あまりにアリステア・マクリーンの世界の再現にこだわり抜いた渋い男の世界過ぎたのだと思います
甘さは皆無、ユーモアもロマンスもヒューマニズムもなし、派手な撃ち合いすら有りません
つまりあまりにも女子供はすっ込んでろ!の映画過ぎたのです

女性はただの一人もでてきません
端役でもエキストラすら女性は皆無です
よってロマンスのロの字もありません
ヒットするには主要登場人物の誰かを映画では女性にすべきだったかも知れません

何より主要登場人物の配役が渋すぎです
良い役者ばかりで登場人物のイメージにピッタリの配役なのですが皆渋すぎです
ヒットの為にはもっとスターを配役しないと無理です
これだけの大作の構えなのになぜそうしなかったのでしょうか?

ファラデイ艦長、ジョーンズ、アンダース大尉の三人にはもっとスターを配役すべきでした
たとえばそれぞれグレゴリー・ペック、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソンを当てるべきでした
その顔があればきっと大ヒット間違いなしだったでしょう
第一、アーネスト・ボーグナインがキャラが立ちすぎなくらいなので、そのレベルの配役にしないと釣り合いがとれていません

そしてクライマックスのカタルシス不足
クライマックスのソ連軍大佐との対決は正にアリステア・マックイーンの世界そのもので、これはこれで素晴らしいのですが、やはりいささか地味すぎです
ナバロンの要塞のような派手な分かり易いカタルシスが得られません
映画なのですから派手にドカーンと大爆発シーンがないと終わった感がでません

とはいえ大人の男の鑑賞に耐える濃密な本格サスペンスと緻密なディテールが詰まった映画です
原潜は旧式ながら実物を使い、艦内部のセットも本物に見紛う程のクオリティで安っぽさは皆無
題名通りの北極海の海氷の下を潜航していくシーンは美しくかつ素晴らしい緊迫感がありました
観終わったあとの満足感が違います
これは観て得した~という喜びを感じる佳作です
オススメ致します!

あき240