劇場公開日 2024年5月17日

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「暗黒の現在」ソイレント・グリーン Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5暗黒の現在

2021年1月20日
iPhoneアプリから投稿

暗黒未来を描いた伝説的SF映画。2021年現在の状況は、恐ろしいほど当たっていて背筋が凍る。

「成長の限界」を超えてもなお、新自由主義的思想の跋扈、資本主義の暴走には歯止めが掛からない。人口爆発、雇用不安、経済格差は拡大するばかり。
環境破壊、土壌汚染、温暖化によりついに新鮮な食べ物は姿を消した。人類の歴史よりもずっと以前から地球という庭で野生してきた植物が、われわれの社会とともに変質してしまった。代わりにモンスター食品が世界を食い尽くしている。

人々は人権も知性も文化も失い、ついに「命の最後」まで不気味なホームによってシステム化されている。
地球上の資源が無くなった末の、テクノロジーがもたらす悪夢。

70年代に、この映画をディストピア映画(娯楽)として観ていた時代にはもう戻れない。私たちにとっては「とっくにわかっている事実」になってしまったのだから。

では、2021年の現在。崖っぷちに立たされた私たちはこの先どんな世界を見通せば良いのだろう。一体どうしたら正しい「生命のあり方」を守れるのだろう。

地球上に残された唯一の資源は、人間の想像力だけかもしれない。

Raspberry