劇場公開日 2024年5月17日

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「荒廃した未来を提示した最初のSF映画」ソイレント・グリーン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0荒廃した未来を提示した最初のSF映画

2018年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ブレードランナーより10年は早く、超テクノロジーが進化したバラ色の未来ではない、荒廃した未来世界を映像で提示したところに本作の重要な意義がある
ブレードランナー2049にも影響を与えていると思う

原作は有名SF作家のハリーハリスンの人間がいっぱい
だから設定もしっかりしている

そして本作にはもうひとつの大事な意義がある

冒頭は1920年代の映像から始まる
本作は1973年の作品だから50年昔はこんなだったのだ
だからこれからの50年はどう変わるか
これから始まる物語が荒唐無稽な話だとは言え無いとのメッセージだ

舞台は2022年
つまりほぼ現代なのだ

地球は温暖化による高温で、農地は乾燥して荒廃し、穀物、野菜、果物といった農作物は壊滅している
穀物がなければ酒も作れない
もちろん飼料になる穀物がないから牛も豚も家畜も壊滅している
それらはごく少量だけが超高額で流通し特権階級が入手できる
水すら貴重品の世界
熱いシャワーは憧れの夢だ
人類は海洋の中のプランクトンを合成した人工食料の配給でなんとか生き延びている
文明は停滞し20世紀のままか、後退している
図書館も失われ、本も紙も鉛筆も貴重品だ
都市は荒廃し、作物の取れない農村部から流入した難民が住むところもなく至るところにあふれかえっている
身なりも皆みすぼらしい

どうだろう!
いま現実の世界の延長線上にある世界ではないか!

このまま行くとソイレントグリーンの世界は来る
半世紀前のSF映画が古びることなく逆に現代的意味を強く持ち始めているのだ

本作の本当の意義はそこにある

あき240
あき240さんのコメント
2020年1月12日

コメントありがとうございます
同じ記事かわかりませんが、wired.jp で同様の記事を読みました
ビーガンには代用肉は大歓迎なのかと思っていたのですが、そう簡単では無いようですね
でもそういう論理ならソイレントグリーンは彼ら的には受け入れられるのではないかとも思ってしまいました
見識不足と批判されるかも知れませんが

あき240
きりんさんのコメント
2020年1月12日

今日のYahoo!ニュースで
「代用の培養肉ならヴィーガンたちも口にするか」という記事を読んでこの映画のことがフラッシュバックしました。
ものすごい現実味を感じてしまって。

きりん