酒とバラの日々

劇場公開日:

解説

アメリカのTV作家J・P・ミラーの脚本を「追跡(1962)」のブレイク・エドワーズが監督した社会ドラマ。撮影はフィリップ・ラスロップ、音楽は「ハタリ!」のヘンリー・マンシーニでアカデミー主題歌賞を受賞した。出演者は「悪名高き女」のジャック・レモン、「追跡(1962)」のリー・レミック、「白昼の決闘」のチャールズ・ビックフォードなど。TVプロデューサー、マーティン・マヌリスの映画製作第1回作品である。

1962年製作/アメリカ
原題:Days of Wine and Roses
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1963年5月3日

ストーリー

サンフランシスコにある宣伝会社の渉外係ジョー・クレイ(ジャック・レモン)はお得意先のパーティーで、大会社の秘書カーステン・アーセン(リー・レミック)をセミ・プロの女と間違えて怒らせてしまった。翌日ジョーは彼女に詫び、何度も食事に誘って仲直りした。陽気で酒好きのジョーとは反対に、カーステンは甘党だったが2人は強くひかれ、結婚することになった。植物園を経営するカーステンの父エリス(チャールズ・ビックフォード)にこれまでのことを話したが、不機嫌な父の顔を見た彼女は、生まれて初めて自分から酒を求めた。幸福な月日が流れ、デビーという女の子も生まれた。ジョーは社用を口実に相変わらず飲み続け、カーステンも彼に付き合って少しづつ飲むようになった。ジョーは酒の上の失敗で減俸され、出張がちになった。カーステンは酔い潰れてアパートを火事にし、この事件でジョーは遂にクビになった。デビーは8歳になったがジョーは次々に職を変え、彼女も飲んだくれになっていた。2人は禁酒しようと努力したがいつも失敗した。貧民街に住むようになった一家はエリスの植物園で働くことになり、一時は健康を回復した。だが、こっそり持ち込んだ酒で2人とも酔い潰れ、ジョーは強制的に入院させられた。このままでは破滅だと悟った彼はアル中患者更生の相互補助団体(A・A)の集会に出るようになったが、カーステンはアル中ではないと言い張って家出した。簡易旅館で彼女を見つけたジョーは、誘惑に負けてまた酒の虜になった。A・Aの補導員は彼女をエリスに預け、ジョーが更生するまで会えないことになった。1年経ち、真面目に働き続けて小綺麗なアパートに住むジョーの所にカーステンが現れ、節酒を誓った。だが自分をアル中と認めない彼女はジョーの言葉に絶望して去った。目覚めたデビーが、ママはいつ戻るのと聞いた時、病気が治ったら帰ってくるよと答えたジョーは、デビーを抱きよせ「勇気と知恵を与えてください」とA・Aの決めた言葉で祈るのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第35回 アカデミー賞(1963年)

受賞

主題歌賞

ノミネート

男優賞 ジャック・レモン
女優賞 リー・レミック
衣装デザイン賞(白黒) ドンフェルド
美術賞(白黒)  

第20回 ゴールデングローブ賞(1963年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジャック・レモン
最優秀主演女優賞(ドラマ) リー・レミック
最優秀監督賞 ブレイク・エドワーズ
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酒とバラの日々

略して「酒バラ」
ご存知、ジャズの超ド定番曲
ほんの少し聴けばあの曲かとなるような誰でも知っている曲
オシャレな曲で、美女を食事にお誘いしてワインを傾ける時に流れていて欲しい曲です

フランク・シナトラの歌入りが有名ですが、元々は本作の主題曲でヘンリーマンシーニ楽団の演奏が元祖
オスカーピーターソントリオ、ビル・エバンス、ウェス・モンゴメリーなど錚々たるジャズの巨匠達も演奏しています
どれもストリーミングで簡単に聴けます

本作の劇中でのこの曲は、タイトルバックで歌入りで流れますが、あとは様々に編曲されたものがごく控えめに流れるだけです

監督ブレイク・エドワーズ、音楽ヘンリー・マンシー二
このコンビで、本作の前年1961年の「ティファ二ーで朝食を」では名曲「ムーンリーバー」を大ヒットさせています

曲名はもちろん本作のタイトルからです
では本作の原題の由来は?

はかなきは酒とバラの日々
二人の道は霧の中よりいでて
夢のうちに消えん

ジョーとカーステンが初めて食事したあと、深夜2時の真っ暗な波止場で海を眺めて、もうかえろうかとなったときに時に、初めて飲んだカクテルに酔った彼女がつぶやくのがこのセリフ
これから取られています
英国の19世紀の詩人アーネスト・ダウスンの詩の一節です
彼女、文学全集を愛読書にしているのです

実はこのセリフが二人の将来を暗示していたのです

ワインとバラが象徴する芳醇な香りと潤いのある豊かな人生の収穫
そのような生活は儚くも霧の中に消えていったのです

この曲の優雅な曲調からは、男女の社交に明け暮れた日々を懐かしむ
このようなイメージを受けると思います
自分もそうでした
ところが映画の内容は全く違いました

やがて結婚して、赤ん坊にも恵まれたこの二人は夫婦揃って重度のアル中になってしまうのです

後半は1948年のビリー・ワイルダー監督の名作「失われた週末」以上の修羅場となっていくのです

タイトルバックの暗く波打つ水面とバラの映像
その水とは酒のことだと思います

「近くでみると汚いのに、遠くから見ればきれいよ」のカーステンの台詞の意味がそこから現実化していくのです

エレベーターのシーン、カーステンの実家の2階で彼が服を脱ぐシーンはさすがジャック・レモンで笑ってしまうのですが、彼のその軽妙な喜劇的な演技が後半には影を潜め、シリアスそのものになっていくのです
妻のカーステンを演じたリー・レミックも名演でした
酒も飲まなかった真面目な彼女は、終盤には殺虫スプレーを撒かれたゴキブリ王国の住民のように逃げ惑うのです
その落差は衝撃的ですらあります

ラストシーン
この夫婦の将来を、BARの電飾看板の明滅をもって、どうなるかわからないと示しています
見事な演出でした

しかし波止場のあの夜、彼女はジョーにここで自分はチンピラに殺されて父親がトラックで遺体を引き取りにくる夢を見たとジョーに言っていたことを思い出さねばならないのです

タイトルバックの暗い水面に浮かぶバラの映像
それは彼女の父親が自分が育てたバラをその波止場の水面に投げたその映像だったのかも知れません

ブランデーアレキサンダー
男の酒飲みなので頼んだことはないのですが、ブランデーをベースにカカオクリームと生クリームでシェイクしたカクテルで、チョコレートケーキのような女性が好きそうな甘い味わいだそうです
つまりアルコール度数26度もの高さなのに、それを感じさせることなく、女性を酔わせて口説くには最適の「完全無欠」のカクテルという訳です

ジョーがこのカクテルを注文したのは、もちろん彼女がチョコレートが大好きと聞いたからです

しかしカクテル言葉には「愛の告白」というものもありました
彼女を酔わせてどうのという下心からのチョイスでは少しもなく、ジョーは本当に彼女が好きだったのです

西田敏行とジャック・レモンは良く似ています
その芸風を師としていたことが本作のギャグシーンを観るとよくわかります
ストリップのシーンは何かでそのまんま再現していたような気がします

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