劇場公開日 2018年7月24日

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「母娘の愛憎に満ちた濃密な会話劇」秋のソナタ しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母娘の愛憎に満ちた濃密な会話劇

2018年10月22日
iPhoneアプリから投稿

ベルイマン生誕100年ということでデジタルリマスター版の特集上映が各地で開かれているが。
さらに本作は国内での上映権が切れ、今後、映画館で観られる予定はない、とのことで観に行く。
バーグマンの遺作にして最高傑作と呼ばれる本作は、母娘の愛憎に満ちた濃密な会話劇だ。

母はかつて、美貌で鳴らした世界的なピアニスト。娘は母のようには美しくないコンプレックスを抱え、それでも母に愛されたいと渇望していたが、母は演奏旅行に明け暮れ、娘を顧みなかった。
長じて、その母は老い、パートナーも亡くし、かつてのような人気もない。
その母を娘は責める。ひたすら責める。そういう映画。

バーグマンはハリウッドでの成功後、妻子あるイタリアの映画監督ロッセリーニと恋に落ち、自身の夫と子供と、ハリウッドでの成功も捨てて、イタリアに渡ったことで知られる。
そう、この映画のバーグマンの役は、ほとんど本人そのものである。
よく、こんな役を引き受けたな、と思う。

スクリーンのバーグマンは老いてもなお美しい。
着飾り、威厳を見せるが、娘に責められ揺らぐ。その揺れが本作の見もの。

母も娘も孤独だ。
いや、関わりを持とうとさえしなければ、これほど断絶することはない。
関わりを持とうとすればするほど遠ざかり、それでも離れられないのは親子だからだ。
人生の真実ではある。
ゆえに余韻は重い。

しろくま