劇場公開日 2004年5月29日

「想像以上に万人向けで面白いぞ」下妻物語 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5想像以上に万人向けで面白いぞ

2024年2月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

評判が良いことは知っていた。それでも物凄く興味のない作品だった。だって、ロリータ少女とヤンキー少女が田舎で出会う物語なんて面白そうに思えないでしょ。
ちょっと中島哲也監督に興味が出て、それならば噂の本作を観てみようと覚悟を決めた。

エンターテイメントの基本は異文化交流だと誰かが言った。
本来ならば交わることのないロリータとヤンキーが、畑とジャスコしかない田舎の魔力で邂逅する。それは異文化交流といっていい。
異文化交流とは自分にはない概念や価値観を理解することだと思うが、本当に大事なのはその先にある相手の価値観を受け入れることだと思う。
その意味では、相手を理解する必要は実際のところないのである。

桃子とイチゴの二人はお互いに、これをするなとか、あれをやめろとか言わない。自分の価値観を押し付けることもしない。つまり異文化交流の最終形態はすでに完了しているのが面白い。
それぞれが確固とした自分を持っていてそれを押し付けるつもりもない。だから孤立もするのだが、孤立した魂の二人は、どのように混じりあっていくのかだけが残され、それが物語になる。

キャベツと原チャリとパチンコ玉の、一見するとバカバカしいこのストーリーは、ファンシーとファンキーを調味料にドタバタしながら見事な融合を見せるのだ。それはモモとイチゴの美味なるミックスジュース。

ロリータファッションも着ないし特攻服も着ないし、そもそも女ですらない私は、素晴らしい異文化交流体験をしたのだと感動すらするのである。

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つとみ