積木の箱

劇場公開日:

解説

三浦綾子の同名原作(朝日新聞連載)を、「喜劇 泥棒学校」の池田一朗と「セックス・チェック 第二の性」の増村保造が共同でシナリオを執筆し、増村保造が監督した。撮影は「大悪党」の小林節雄。

1968年製作/83分/日本
配給:大映
劇場公開日:1968年10月30日

ストーリー

北海道の観光王佐々林豪一の息子一郎は、ある日、父と長姉の奈美恵が抱きあっているのを見て仰天した。実は奈美恵は、少女時代に豪一に拾われた娘で、豪一の女だったのだ。それを姉のみどりから知らされた一郎は、みどりも母トキも、妻妾同居を平然と受け入れているのに憤激し、それ以来すっかり変ってしまった。家で食事もしなくなった一郎は、毎日パンを買う店の久代の優しさに惹かれていった。久代は子供の和夫とつましく暮している女だった。一方、決活で成績のよかった一郎の変化に気づいた教師の杉浦は、家庭訪問して佐々林家の乱脈ぶりに気づき、一郎のこころの成長を気づかった。杉浦は久代に好意を持ち、一郎が久代の家を訪れるとよく談笑していた。一郎は杉浦にライバルめいた意識を持ち、久代の肌着を杉浦のロッカーに入れておくという悪戯をやったが、軽くいなされてしまった。一郎はみどりに、奈美恵を父から奪うと宣言したが、それから間もなく、挑発する奈美恵を抱いた。そして、彼女に二度と父と寝ないと約束させたのだ。しかし、豪一と奈美恵の部屋は仕掛けドアでつながっていた。その事実を知った一郎が詰問すると、奈美恵は久代もまた豪一の女だという。久代に詰め寄る一郎は、久代が豪一の秘書だった頃暴行を受け、和夫を生んだことを知った。豪一の獣のような数々の振舞いに、一郎はナイフを手にして父に迫った。だが、もちろん刺せなかった。その夜、一郎は父の名を汚すため、学校に放火した。宿直の杉浦は、現場に落ちていた帽子から、犯人が一郎だと知ったが、責任をとって辞職した。豪一も一郎の仕業と察してあくまで否認するよう、厳命した。だが、みどりは一郎に自白するように言い、虚飾にみちた佐々林家から出ていった。一郎は、当夜杉浦の許にいて火傷した和夫を見て、さすがに良心の呵責に駆られた。そして、豪一の面前で警察へ自白の電話をするのだった。

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映画レビュー

3.0増村保造×若尾文子だがビミョー

2023年12月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

初見は池袋・新文芸坐(2013年2月)、10年ぶりに鑑賞🎥
増村保造監督×若尾文子主演の映画だが、少年の性のめざめを描く内容で、ややいびつな(変態的な)場面が散見される😅

北海道の各地を転々としている家族の父親は観光王なので金はある。そんな父親が二人の姉弟と妻だけでなく、姉弟の姉として妾(松尾嘉代)を自宅に住まわせていて、妻妾同居の状態。……こういう妻妾同居はあの『華麗なる一族』でも山本薩夫監督が描いていたが、「金と権力を持った男」にありがちだったのだろうか。

そんな父親が妾と裸…の姿を、多感な中学生の息子=一郎が見てしまう。一郎の姉(高校生)=みどり(梓英子)も父親と妾の関係は知っている。
この梓英子という女優、高校生にしては色気があるかな…と思ったら、本作出演時は20歳ぐらいだったようだ。

序盤、なかなか若尾文子が登場しないな……と思っていると、一郎の学校の近くのパン屋の奥さんが、とっても綺麗な若尾文子である。
若尾文子には息子がいるので、一郎は若尾文子のことを「おばさん、おばさん」と呼ぶのだが、観ているこちらは「若尾文子に向かっておばさんって言うな!」と思ってしまう😅笑

この一郎少年、若尾文子の家に干してある下着の匂いを嗅ぐなど変態の素質を持っており、松尾嘉代の色っぽい誘惑にも負けるような「どうしようもない少年」である。

カラー映像で若尾文子を観られる映画としては喜ばしい映画であったが、内容が変態的な歪みを持っており、観て良かった!……と素直に思えない微妙な作品。

なお、初見時は未ソフト化作品だったが、今回はDVD鑑賞したので特典映像の「予告編」は初めて観た。
本編では使われなかったフッテージが結構多くて、特典としてはなかなか良かった👍

<映倫No.15449>

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たいちぃ
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